“バードマン”が猛虎打線に火をつけた。前日24日に顔面に死球を受けて鼻骨を骨折した阪神鳥谷敬内野手(35)が、黒のフェースガードを装着して強行出場。代打で三塁ゴロに終わったが、不屈の精神がチームを1つにまとめた。2試合で1点しか奪えなかった打線が、9安打6得点と爆発。復刻したブラックユニホームで球団創設以来初めて巨人を倒し、連敗を2で止めた。

 割れんばかりの拍手が甲子園を覆った。5点リードの6回裏2死。「代打 鳥谷」。黒いフェースガード姿の背番号1がゆっくりと、左打席へ歩き出した。「(怖さは)もう全然なかった」と振り返った。

 巨人桜井の初球は外角高め149キロ。力強く右足を踏み込み、強振でファウル。2球目も同じコースの145キロをファウルした。1ボールを挟んで4球目、最後は外角高め148キロに食らいつき、当たり損ねの三ゴロにもかかわらず、聖地は再びごう音のような大歓声に包まれた。試合後は「(歓声に)申し訳ないですね」と照れ笑い。想像を絶する「勇気」が見る者の心を打った。