広島大瀬良大地投手(26)が、エンゼルス大谷もびっくりの二刀流の大活躍で、リーグ最速の貯金10をもたらした。投げては7回5安打1失点でハーラートップタイの5勝目をマーク。打っては2回1死満塁から、決勝打となる右越えの先制2点二塁打。大瀬良劇場全開で、がっちり堅首だ。

 1点リードの6回1死二塁。中軸を迎えた大瀬良は慎重に、そして思い切り腕を振った。糸井には外角勝負。内角球はボールにした1球のみ。「あそこはヤマというか厳しい場面だった。(糸井は)前回の対戦で外角の真っすぐに合っていないのは感じていたので多めに投げた」。7球目の外角147キロで左飛に打ち取ると、福留には追い込んでから内角にズバッと投げ込み、空振り三振に仕留めた。

 今季、力強さが増した真っすぐと、この日さえたカットボールを軸に阪神打線に対し力で押した。「真っすぐはコーナーに丁寧に。変化球でカウントを作れた」。6回のピンチを切り抜けると、7回も先頭こそ出したが、その後は3人で切った。

 球威が回復した今季、変えたのは投球フォームだけではない。OBで元メジャーの黒田博樹氏が現役時代に師事したパフォーマンスコーディネーターの手塚一志氏とともに体の使い方を見直した。肉体は「太りやすい」体質に注意し、食事改善。疲労回復のために登板間の冷温交代浴を1度から2度に増やした。意識の変化、肉体の変化が投球の変化につながっている。

 バットで自身も援護した。2回1死満塁。フルカウントから「1、2、3で振りにいった」と、見逃せばボールとなる高め151キロをたたいた。今季初安打は、右翼フェンスを直撃する先制の2点適時二塁打。これが決勝打になった。

 3試合連続で7回以上を投げて3連勝。ハーラートップタイの5勝目を挙げた。「またチームが勝てるように頑張りたい」。大谷もびっくりの二刀流の大活躍。チームはリーグ最速の貯金10に到達だ。【前原淳】