平成最悪の悲劇にはまだ続きがあった。「投壊」のあとは拙攻だ。前日今季最多12失点を喫した甲子園で一夜明けのデーゲーム。快晴のなか、ゆううつを吹き飛ばせない。巨人ヤングマンと今季初対戦。スコアボードは淡々と「0」だけが刻まれていく。今季2度目の完封負け…。矢野監督も厳しい表情だった。

「2回チャンスがあったところで、点を取れなかった。それがこういう流れを作ってしまいました。(初対戦は)言い訳にならないので。まずは、しっかり点を取らないと勝てない」

勝負の分岐点は早くも1回に訪れる。遊撃内野安打で一塁を駆け抜けた1番近本が、がら空きの二塁ベースを見て猛ダッシュ。敵失も絡んで一気に三塁まで達した。相手のスキを突いて無死三塁になる。だが、糸井、糸原、大山の上位打線3人が内野ゴロ。絶好の先制機を逃してしまった。

その直後の2回表、石川の2ランであっさり先制点を奪われるなど、流れは巨人に傾く。3回には再び1死二、三塁の反撃機を築くが糸原と糸井が凡退。198センチの長身右腕が投げ下ろすカーブやカットボールに手を焼いた。浜中打撃コーチも「(初回は)そこで1本出れば、いつものことですけど、かえせてるとまた違う展開になっていた。選手もかえそうと思ってやっている」と悩ましげだ。

この日は16年から3シーズン、阪神で指揮を執った金本知憲前監督(51)が昨年10月に退任後、初めてチームの現場を訪れ、毎日放送のテレビ中継で解説した。大山、糸原、中谷…。手塩にかけた若き教え子たちは、活躍できなかった。チームも元気を出せずに惜敗。今季巨人戦は87年以来、32年ぶりの開幕5連敗で平成で初めての屈辱を味わっている。なじみ深い元号での「伝統の一戦」は今日21日が最終戦。負け続けて終われない。指揮官も語気を強めた。

「しっかり点を取れるように頑張ります。毎日、僕たちは結果を踏まえながら前に進んでいかないとダメなので。反省、改善するのはもちろんですけど、前を向いて明日も頑張ります」

今季最多の借金5に増えて、広島と並ぶ最下位に落ちた。矢野阪神よ、令和を迎える前に、せめて立ち上がれよ!!【酒井俊作】