主砲のグランドスラムが勝利を呼び込んだ。日本ハム中田翔内野手(30)がオリックス11回戦(京セラドーム大阪)の4回2死満塁から、決勝弾となる12号本塁打を放った。

満塁本塁打は3月29日今季開幕戦の同戦(札幌ドーム)の延長10回サヨナラ満塁弾以来で、今季2本目、通算5本目。4番の1発で、チームは1分けを挟み今季初の6連勝で単独2位に浮上、勢いをつけてセ・パ交流戦へと向かう。

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懐かしの応援が中田の心に火をつけた。「(高校の時に)甲子園で背中を押してもらった。ベンチから見ていても、すごく迫力のある演奏だった」。この日、母校大阪桐蔭の吹奏楽部が右翼席でオリックス応援団と共演し、打席に入る選手の応援歌を高らかに演奏していた。ヒーローインタビューでは「僕の打席の時に応援がなかったのが悲しかったですけど」と、得意の“中田節”でファンの笑いを誘ったが、その演奏は確かにアーチへの後押しとなった。

同点で迎えた4回だ。2死満塁、カウント1-2から先発K-鈴木の高めに甘く入ってきた125キロスライダーを見逃さなかった。「追い込まれていたけど、うまく振り抜くことができた」という打球は、ライナーで左翼席へ。「昨日からチャンスをつぶしてしまう打撃ばかりで、申し訳ない気持ちの中での今日の試合だった。すごくスッキリした」。前日は6打数無安打、2三振だっただけに、勝利に直結した満塁弾を心から喜んだ。

先輩のバースデーにも花を添えた。2日は07年ドラフト同期で、4歳年上の左腕宮西の34回目の誕生日だった。「打てて良かったです」。4番の祝砲に宮西は「(自身が)投げずに勝てたし、良い誕生日にしてくれた。うまいこと勝ち試合にしてくれた」と、最高のプレゼントをくれた後輩をたたえた。

チームは1分けを挟み、今季初の6連勝。首位楽天に1・5ゲーム差の単独2位に躍り出た。4日ヤクルト戦(札幌ドーム)からの交流戦へ向け、中田は「投手もみんなが頑張ってくれていますし、打撃陣もすごく状態がいいので、もっともっと勝てるように頑張っていきます」と笑顔で約束した。頼れる主将のバットは、チームをさらに上昇気流に乗せていく。【山崎純一】