<日本生命セ・パ交流戦:中日2-5西武>◇19日◇ナゴヤドーム

「素晴らしい球を投げながら、なかなか勝てない投手」がいる。今試合で先発した中日の大野雄は代表格。西武の山賊打線を相手に6回まで無失点に抑えながらの逆転負けには「勝てない理由」が詰まっていた。

立ち上がりが悪いタイプだが、序盤の3回を無安打5奪三振。先頭で対戦した山川には1発を警戒して四球を与えたように、いつもと違う雰囲気があった。6回までボテボテの内野安打1本。ついに本格化したと思わせる内容だった。

悔やまれるのは7回2死三塁から中村に浴びた同点2ランだ。1発だけは打たれてはいけない場面で、最悪の1発。カウント1-1から内角を2球攻め、ともにボール。この時点で歩かせてもいいし、ストライクゾーンへの投球だけは厳禁だった。捕手は外角へのツーシームを要求したが、ストライクゾーンに入り、右翼へ本塁打された。

次打者は前の2打席で2三振を奪っている木村で、栗山やメヒアの代打を警戒したのかもしれないが、8番打者も非力な金子侑。中村にさえ1発を打たれなければ、同点に追いつかれるまでの心配は少なかったはず。投げる球は一流でも、勝負どころが分かっていない。勝てない投手の典型的なパターンだった。

もう1つの弱点は、内角の制球力が悪いところ。規定投球回数に達している投手の中で13被本塁打はリーグワースト2位。1位の巨人菅野も、同数で並ぶ広島床田も、被本塁打が多くても勝ち越している。大野は4勝5敗で黒星が先行。これは長打になりやすい内角への制球ミスが手痛い本塁打につながっている証拠だ。潜在能力がありながら、本当にもったいない投手だといえる。【小島信行】