セ・リーグ屈指の本格派を、軽々と打ち砕いた。ロッテが「日本生命セ・パ交流戦」広島戦で、相手エース大瀬良から4本塁打を浴びせて完勝した。

今季12球団トップの4完投を誇る右腕を7回途中でKO。交流戦5カード目にして初のカード勝ち越しを決めた。昨季は12球団ワーストの78本塁打と長打力アップが最重要課題だったが、今季66試合目で81本塁打。早くも昨季を超え、強打の打線に変貌した。

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井口監督はすっきりとした表情で引き揚げてきた。「打線も1発でしたけど、効率よく点を取ってくれた」と言った。今季を象徴する本塁打攻勢で大瀬良を沈めた。

6回までに放った5安打中4本が本塁打。全てソロだったが、先制、中押しと理想の形でダメージを与えた。1回、中村奨が5年目で自身初の2桁本塁打となる10号ソロ。3回、荻野が昨季のチーム本塁打数を超えるチーム79本目となる4号ソロ。課題だった追加点を奪うと勢いは止まらない。5回、田村が2号ソロを放てば、4番に入ったレアードが6回に5年連続となる20号ソロ。節目がこれでもかと重なった。

なぜここまで劇的に本塁打数が伸びたのか。レアードの加入、ホームランラグーンの設置も要因だが、今季3度記録している1試合4本塁打は全て敵地。理由はそれだけではない。

2億円以上を投資した「チーム戦略部」の新設が大きい。これまで打撃投手が兼務したスコアラーを専任とし、メジャースカウト経験者ら6人の統計アナリストを配置。計19人からなる同部が「データ野球」を推し進めている。対戦結果だけではなく、さまざまな角度から分析し最善の策を割り出す。この日も行木チーフスコアラーが「真っすぐかカット。どっちか絞らないと難しい。予定通りだった」との読みが的中した。

3つの土台を生かすべく、井口監督は積極的な用兵に徹する。18日は3番清田、この日は4番井上をベンチ待機させた。固定観念をを排し、少しでも調子を落としていると判断したら、最善のオーダーを模索する。66試合目で実に55種類目のオーダーだった。最大の要因は「しっかり振れてるということ」と井口監督。力を結集し、豪快に交流戦初の勝ち越しを決めた。【久永壮真】

▼ロッテが広島大瀬良から4本塁打。大瀬良の1試合被本塁打は昨年6月15日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)の3本が最多。マツダスタジアムで3本以上打たれたことがない投手から量産した。これでチーム本塁打は81本。77試合を残し、昨季のシーズン78本を上回った。

▼中村奨が初めて10号に到達。今季のロッテはレアード20本、井上12本、鈴木10本に次ぎ2ケタ本塁打が4人目。外国人選手を除き、ロッテで10本塁打以上が3人は、10年の7人(サブロー19、井口17、大松16、福浦13、西岡11、今江10、里崎10)以来。