楽天茂木栄五郎内野手(25)が値千金の一撃を放った。5回にソフトバンク千賀から自身2年ぶり2度目の2桁本塁打となる先制の10号ソロ。令和初の完全試合まであと3人と迫った美馬の快投をアシストし、チームは約1カ月ぶりとなる連勝を飾った。

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茂木が千賀の152キロを打ち砕いた。「前の打席で真っすぐで打ち取られていたし、(カウント)3-1だったのでストレート1本で狙っていた。美馬さんが頑張ってくれていたので、何とかしたかった」。好投しながら約1カ月白星から遠ざかっていた右腕を援護できたことがうれしかった。17年以来の2桁本塁打。ここまでチームトップの打率3割6厘をマークしており「ちゃんと振りにいった中での3割。守りに入っての数字じゃないのは、自分としていいこと」と強打との両立に胸を張る。

完璧主義ゆえに失敗を許せず、理想とのギャップに悩み、メンタル面で沈みがちだった自分と決別した。転機は春季キャンプでの三木2軍監督とのやりとりだった。「『まあ、いいか』じゃないけど、もっと肩の力を抜くように、と。練習でやっている以上のことはできないわけですから」。練習はこれまで以上にストイックに取り組む一方、試合に入れば割り切り、ある意味で開き直る。昨季故障で苦しんだ影響を考慮されてのキャンプ2軍スタートに当時は焦りを隠せずにいたが「今は2軍からでよかったと思っています。三木さんや(2軍内野守備走塁コーチの)塩川さんのおかげです」と感謝を口にする。

身近なアイテムには好んで「9」の数字をあしらう。「僕のバイブルです」と憧れてやまないフジテレビ系ドラマ「プライド」で、木村拓哉演じるアイスホッケー選手の里中ハルが背番号「9」だったからだ。相手エースをひと振りで沈めたリードオフマンは、ドラマの主人公のようにかっこよかった。【亀山泰宏】