ストレートを磨くべし-。日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)が21日の都市対抗野球3回戦の東芝-JR東日本東北戦を視察。ドラフト1位候補と評判の最速154キロ右腕、東芝・宮川哲投手(23)の投球をチェックした。カットボール、フォークボールと変化球を高評価した一方で、軸となる直球の質について課題を指摘した。

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宮川はストレートの質を高めることが成功の近道になる。21日は最速149キロで、平均は140キロ台中盤。調子の良しあしは、あるかもしれない。だが仮に160キロ出てもプロの打者には打たれると思う。回転数は高いかもしれないが、変化量が少なく見える。直球の浮き沈みが滑らかで、悪い言い方をすれば棒球だ。

高めに抜けた直球を、バットに当てられる場面が多かった。松坂とイチローさんの初対決を思い出してほしい。本当に空振りが取れる投手は、低めを狙って高めに浮いた直球で空振りを取れる。もちろん社会人の中でレベルの高い直球を投げているし、ドラフト1位候補のポテンシャルは感じさせる。ただ177センチの上背でリリースポイントもそこまで高くなく、角度がつきにくい中で直球のキレがなくては難しくなる。

変化球はプロで通用する質がある。特に140キロ台前半のカットは、軌道的にもピッチトンネル(打者がボールを振るか振らないか最終判断するホームベースの手前7メートル前後)を通ってから曲がっているように見える。球速もあり、打者も直球との見極めが難しい。フォークはカウント球、勝負球でも使い、落差と制球力もある。120キロ台中盤のパワーカーブはドロップ軌道なら理想的。ややスラーブ気味で打者も対応は可能だが、目先を変えるには十分な球種だ。

今の能力ならセットアッパーのイメージ。直球の質が高まればストッパーの適性も出てくるし、先発でもローテで回れるだろう。まずはストレートあっての変化球と考えてほしい。