楽天が、日本ハムのお株を奪う今季初の「ショート・スターター」を成功させた。先発釜田佳直投手が3回2安打1失点で粘ると、1点リードの4回からはローテーションの一角である辛島をマウンドへ。3回3安打3四球と毎回走者を背負いながらゼロでしのぎ、7回以降の勝利の方程式に託した。

平石監督は「2人の良さを引き出す新たな試み」とうなずいた。肩肘の手術明けのシーズンとなる釜田のスタミナと開幕からローテを守る辛島の蓄積疲労。それぞれの不安要素を補い合った。2軍戦から中4日の釜田に起用法が伝えられたのは、チームが札幌入りした7月29日。「短い分、しっかり1人1人という気持ちだった」。常にひょうひょうとしている辛島も慣れない起用に必死で腕を振った。「自分が先発なら同点まではいいかなと思えるけど、初めての経験で難しさはあった」。一方で2人をリードした太田は「(同じ投手で)2打席目以降をあまり考えなくていい分、出し惜しみせず、いいボールを続けられた」と言った。

自らに勝ちはつかなかった釜田は「多少はチームの力になれたかな」。チーム最多7勝目の辛島は「僕も釜田も、(1人でも)ビシッと抑えられる投手にならないと」と誓う。10連戦最初のカード勝ち越しを決めた奇策が、新たな刺激も生んでいる。【亀山泰宏】