守りの秋だ。両リーグ最多102失策の汚名を残した阪神の安芸キャンプは守備集中デーになった。フリー打撃中には内野陣が捕球部が平らなトレーニング用グラブで練習する珍しい光景もあった。

大山悠輔内野手、北條史也内野手、木浪聖也内野手らがはめたグラブはよく見るとぺったんこ。捕球と同時に右手で抑えないと球がこぼれる。壁当てによるゴロ練習は丁寧な動作を繰り返した。「面がななめだと強い打球をはじいてしまう。面を正面にする矯正になります」と今季12失策の北條は語った。大山はぺったんこグラブを別の目的に活用していた。今季、スローイングミスが目立った正三塁手は「いいところで捕らないと握り替えができない。握り替えが苦手な部分があったので」と説明した。

今季は内野で失策を記録した選手が10人いた。久慈内野守備走塁コーチは「投手の足を引っ張った。送球ミスが多かった。単純計算で1人が1つ失策を減らせば10減る。甘いものじゃないが、何かを変えられる時期だから」と見守った。

工夫は続く。全体練習後、7人がメイン球場で居残り内野ノックを受けたが、その最初に大山は極端な前進守備で構えた。「きれいに捕れれば一番いいですが、三塁なのでそういう打球は来ない。バウンドが合わない中で前に出たり、下がったり、ハンドリングで合わせたり、そういう練習をやりたいと思っていた」。あえてバウンドの合わない状況でゴロをさばいた。

外野陣はマシンを使って真後ろの飛球を追いかけ続けた。今キャンプ最大の守備デー。「数だけやったって中身がなければ、うまくなるスピードは上がらない。いろんなことをやってみるのはいいこと」と矢野監督。屈辱シーズンの借りを返すため、個々が課題と向き合った。【柏原誠】

▼阪神の今季チーム102失策は両リーグ最悪。年間失策数が3桁となったのは、00年101失策以来19年ぶりの屈辱だった。また大山の20失策は12球団個人最多。木浪の15失策はセ・リーグのワースト2位タイ、北條12失策は同6位タイ。この3人計47失策だけで、チーム失策数両リーグ最少の中日45失策よりも多かった。