阪神藤川球児投手(39)が五輪イヤーに向けて異例の早仕上げで備える。22日、鳴尾浜球場に登場してキャッチボールなどで「始動」した。東京五輪がある来季は開幕が例年より1週間早い3月20日。夏のリーグ中断も見据え、例年と違う調整スケジュールで臨むと明かした。40歳を迎える右腕は惑うことなく変則シーズンに挑む。

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11月の鳴尾浜に、若手に交じってトレーニングウエアを着た藤川の姿があった。キャッチボールなどをこなし、五輪イヤーに向けたプランを明かした。

藤川 作戦を練っている。どういう風に戦っていこうかなというのを。1カ月空く時があるから、そこまでにどう上げていくか。

来季は7月21日から8月13日までシーズンが中断する変則日程。百戦錬磨といえども未知のシーズン。対策を練る中、1つの方向性として導き出したのは「早仕上げ」だった。本人によると、この日は例年より早い「始動日」だった。

藤川 今日からです。鳴尾浜に来たということは、初心で来年に向かってのスタート。1カ月、前倒しくらいのイメージでちょうどいいかなと思う。

いつもなら12月中旬から始めるアジリティー(敏しょう性)の動きも2週間ほど早めるという。この日は軽めだったが、途中でS字ダッシュも取り入れた。

ベテランとしては異例の取り組みだ。ただ、例年と同じく開幕にピークを合わせることはしない。経験が問われる終盤の胸突き八丁を照準に合わせる。ならば、1カ月前倒しの意図は-。来季に限り(1)球宴まで(2)五輪明けという「2段階」で勝負の局面をイメージしているようだ。

今季途中、7年ぶりに虎の守護神に戻り、逆転3位でのクライマックスシリーズ進出に導く16セーブ、防御率は復帰後初めて2点を切って1・77。30代最後にして驚異の数字を残した。来年は40歳。一般的には節目だが、藤川には無関係だ。

藤川 年齢より、勝たないと。勝てないまま年齢を重ねたファンの方がたくさんいるので。何かを成し遂げたいとか個人的な欲はないので。みんなに喜んでもらうための準備。ありがとうと言ってもらえる喜びの方が大きいからね。

変則日程&40歳の節目。05年を最後に優勝を待たせに待たせているファンに、言い訳は無用。「惑いませんよ」。火の玉ストッパーは力強く、2020シフトに挑戦する。【柏原誠】

<藤川が来季達成可能な記録>

◆NPB通算800試合登板(過去7人)残り34試合。

◆日米通算250セーブ(過去3人)残り7セーブ。

◆NPB通算250ホールドポイント(過去2人)残り34HP。

◆NPB通算防御率1点台 今季と同じ56イニング登板とすれば、自責点9以下で到達。