プロ野球各チームの監督、選手が7日、全国に散り野球教室を行った。あこがれの存在がすぐ近くにやってきて、プレーの基礎はもちろん、人生の道しるべも示してくれる。オフの野球人にとって最も大切な行事は、少年少女たちにとっての宝物。野球と金の卵たちへの愛情が、言葉の端々にまでギッシリと詰まっている。

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「野球教室」のトリビアを紹介する。野球殿堂博物館の収蔵本で、最古の「野球教室」は1949年(昭24)に文章社から刊行された。当時170円。日本野球連盟審判部の編で池田豊氏、「俺がルールブックだ」で知られる二出川延明氏、「円城寺 あれがボールか 秋の空」で有名な円城寺満氏らの共著。意外にも審判技術を解説する本ではなく、プロ野球選手の打撃や走塁、投球などを技術的に解説する。当時の審判の地位がうかがい知れる。

次いで56年の「ヤンキース野球教室」(毎日新聞社刊)。55年に来日して15勝1分けと圧勝したヤンキースのヨギ・ベラらを連続写真で解説している。守備時のカバリングを図解するなど本格的だ。

プロ野球選手が行う「野球教室」のパイオニアといえば元巨人監督の故川上哲治氏だろう。「打撃の神様」は76~92年まで「NHK少年野球教室」で全国を行脚した。夏休み恒例の番組だった。

テレビ番組では57年開始の「ミユキ野球教室」も印象的だ。評論家の中沢不二雄氏(後のパ・リーグ会長)がホストのトークショーで開始。巨人長嶋と横綱輪島の対談、ヤクルト・ロジャーら外国人夫婦の日本生活談義、「空白の1日」を主張した江川のドラフト1カ月後のインタビューなど、題材は幅広かった。【斎藤直樹】