プロ野球各チームの監督、選手が7日、全国に散り野球教室を行った。あこがれの存在がすぐ近くにやってきて、プレーの基礎はもちろん、人生の道しるべも示してくれる。オフの野球人にとって最も大切な行事は、少年少女たちにとっての宝物。野球と金の卵たちへの愛情が、言葉の端々にまでギッシリと詰まっている。球界が長い時間をかけて育んできた、かけがえのない時間をルポする。

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出てこい令和の大打者! 西武山川穂高内野手が、母校の富士大で行われた野球教室に参加。小中学生へ打撃の極意3カ条を伝授した。

大切にしていることは<1>タイミング<2>バットの軌道<3>スイングスピード。タイミングを取るために「始動を早く」と指導されるケースは多いが「タイミングとは、足を上げてからインパクトの瞬間までの時間」と説明。始動の早い、遅いにかかわらず、打撃動作の時間を計算して打つことを助言した。

レベル、ダウン、アッパースイングのどれが正しいのかというテーマでは「全部できないといけない」と高さに応じて打ち方を変えていくことを勧めた。タイミングと軌道を意識し、速くバットを振ることができれば「これだけで打てる」と本塁打量産のコツを明らかにした。

質問コーナーでは山川ワールドが全開した。海外FA権を行使した秋山が、メジャー移籍した場合の影響を聞かれると「大ピンチ。西武来る? 助けてよ」と懇願。ソフトバンク柳田の印象について「最強のバッター。あの人すごくない? ギータさん目指して」と笑いを誘った。

岩手はエンゼルス大谷やマリナーズ菊池ら多くのスターを輩出している。自身もこの地で大学4年間を過ごし、球界を代表するスラッガーになった。最後に「今日教わったことを復習して覚えてください。プロ野球で待ってます」とあいさつ。教え子とクリーンアップを打つ日を夢見た。【湯本勝大】

○…山川が東京五輪出場への思いを語った。「恥じない成績を出して五輪に呼ばれるのが理想」と意欲。観客が多ければ多いほど力を発揮する性格で、開催地となる横浜スタジアムも「あの風と広さは魅力しかない」。超満員のハマスタで日本を金メダルへ導く本塁打を放つ姿を思い描いた。