オリックス福本豊臨時コーチ(72=野球評論家)が、指導先の宮崎で野村克也氏の訃報に声をなくした。この日の朝9時ごろ、知人からのLINEで知ったという。最後に会ったのは「昨年の12月くらい。えっという思い。びっくりしました。大先輩ですが、まだ早い。野村語録をもっと聞きたかった」と述懐した。

2人は現役時代に南海の捕手対阪急の俊足打者として何度も対決。「レベルの高いランナーにしてもらいました。クイックを投手にさせて、ぼくが動けないようにして。ぼくが走れないように。その中でぼくが研究して、レベルを上げさせてくれた」と振り返り、福本コーチを「世界の盗塁王」に押し上げた名捕手に感謝。「顔見たら『走るのか?』と。『ランナーに出たら、走るのか?』」と、打席の中での会話で、すでに“対戦”は始まっていた。「若いときに、チャンスの打席に行ったら、パッと間というか、集中力を散漫にさせる一言はきつかった。あの一言がきくんです。それに乗ってしまってやられてしまうことが何度もあった」と思い起こした。

阪神時代に野村監督のもとでコーチを務めたときも「細かいところまでみんな見ておられる。自分と違うなと感じた」と、あらためて観察力、洞察力に舌を巻いたという。希代の名捕手、名監督を語る言葉は、つきなかった。