西武先発のザック・ニール投手(31)は、所沢の吹雪にも動じることはなかった。

メットライフドームの屋根とスタンドの間から雪が吹き込む中、ヤクルト打線を淡々と打ち取る。初回先頭に左前打を許すも、ゴロ投手らしく3者連続内野ゴロ。3回1死一、二塁では2者連続空振り三振に仕留めた。「本当に寒かったけど、いい投球ができた」。普段は半袖だが、さすがにインナーシャツを着ながら3回無失点の好投に納得した。

これだけの平常心を持ってすれば、2年目のジンクスとは無縁かもしれない。キャンプ最終日、昨季12勝の安定感を評価され開幕投手に任命された。しかし、新型コロナウイルスによって開幕は延期に。家族、友人が晴れ舞台に合わせて来日予定も急きょキャンセル。「チームメートや家族が健康でいることが一番大切なこと。米国で飼っている犬に感染しないか心配だった。でも聞いたところによると、犬には感染しないようなので安心した」と軽妙なジョークを飛ばしながら、予防に努め準備する。

開幕まで練習試合の形式で、日程通り試合をこなしていく。その上で「一番難しいのは同じパ・リーグと対戦すること。お互いに情報を知ってしまう。シーズンと同じように投げたいけどすべて明かしてしまう。逆に隠して投げれば失点するかもしれない。そのバランスが挑戦になる」。相手打者を綿密に研究し、結果を残してきた助っ人だけに、慎重に準備を進めていく。【栗田成芳】