阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)が9日、鳴尾浜での自主練習後、広報を通じて研究漬けの毎日を明かした。

3度の3冠王落合博満氏(66)の打撃を参考にするなど、チームの活動停止期間から加速させた動画研究を継続中。現在は侍ジャパン4番の広島鈴木誠也外野手(25)、2年連続本塁打王の西武山川穂高内野手(28)、2年連続30本塁打の巨人岡本和真内野手(23)ら、国内屈指の長距離砲の足腰に着目。踏ん張りの効いたフォームへの進化を目指す。

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井上の自由研究には続きがあった。今回のテーマは「下半身」。材料となる動画をかき集め、イメージするのはどっしりと粘り強い足腰だ。

「鈴木誠也さんや岡本和真さん、山川穂高さんの下半身の使い方や踏ん張り方などを見ています」

狙いも明確。グラウンドで優秀な成果を発表するべく、コツコツ研究を進めている。

チームは3選手が新型コロナウイルスに感染したこともあり、3月27日から4月14日まで活動を停止した。井上はその間、動画研究を加速させていた。

3度の3冠王を誇る落合氏の打撃論や、楽天浅村の体幹について勉強。「飛ばそうと思うとスイングが大きくなる。バットを(トップから)落とすことだけを考えています」。冷静に自身の打撃フォームを分析し続ける中で、また新たな研究テーマが見つかった。

「バッティングで下半身が使えていない」-。

下半身の重心移動を意識づけようと、すぐさま内野ノックの量を増加。それだけで満足せず、今度は日本屈指のスラッガーたちの足腰にも注目したというわけだ。

もちろん、鍛える部位は下半身だけにとどまらない。履正社高校時代から取り入れているという、生き物の動きをまねするクリーチャー・トレーニングでも全身をいじめている。

向上心の塊。目先の楽しみも「研究」だという。

「(ソフトバンク)内川さんの『バッティングバイブル』という本を購入したので、手元に届けばそれを早く読みたいです」

コロナ禍で自主練習が続く毎日。未来の大砲は1分1秒を大切に使っている。【佐井陽介】

◆プロ入り後の井上 2軍安芸キャンプでのプロ初実戦、2月15日の練習試合・四国銀行戦の初打席で本塁打デビュー。同23日の練習試合・西武戦でもアーチを描き、破壊力を見せつけた。3月6日の教育リーグ中日戦では、高卒ルーキーながら初の4番を務めた。甲子園での1軍オープン戦にも2試合参戦。7日の日本ハム戦は無安打も、8日の巨人戦では17年ドラフト1位の鍬原から左中間を破る弾丸二塁打を放ち、1軍初安打初打点。その後2軍戦で2本塁打を放ち、プロ実戦は通算4本塁打。10日の教育リーグ・ソフトバンク戦から4番に定着した。

○…履正社時代の昨夏、全国制覇した井上は苦悩する後輩、高校球児たちを気遣った。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で夏の甲子園の開催自体が不透明な状況。「今は思ったように練習できていないと思いますが、今できることをしっかりとやっていれば、必ず後で自分に返ってくると思います。やる日はとことん満足するまでやって、自分を高めてほしいです」と力を込めた。