オリックス太田椋内野手(19)が開幕スタメンに向けて猛アピールだ。2回無死一塁。広島先発床田の内角速球を完璧に仕留めた。変化球に空振りした直後、鋭く最短距離で白球をたたく。豪快に左翼へ運ぶ、プロ初の1軍対外試合弾だ。

太田 追い込まれていたので、とにかくコンパクトに。ずっとスイングの強さを求めてきた。あと2週間、もっとアピールして開幕スタメンを勝ち取りたい。

高卒2年目だが「6・19」のスタメン奪取に本気だ。三塁レギュラーのチーム構想は中川だが、4日ソフトバンク戦の死球で右手人さし指を打撲と裂傷。この日から2軍調整に入り、開幕は不透明だ。太田は前日5日に三塁で先発し、中前に2点適時打。ぽっかり空いた内野の一角に割り込むべく気を吐く。「遊撃でいきたいですが、今なら三塁でも出していただいている。出られるなら、どこでも出たい」と色気を隠さない。

将来の主砲候補だ。天理では高校通算31本塁打。ドラフト1位で入団した昨季も期待されたが、3月の実戦で死球を食らい、右尺骨骨幹部を骨折。約3カ月間、チームから離脱する憂き目に遭った。1軍戦は6試合出場にとどまり、プロ初安打もお預け。悔しさを胸に秘め、オフから打撃投手の父暁さんと二人三脚で打ち込みを継続してきた。

ホープが存在感を示し、西村監督も「真っすぐに対して、いいスイングをかけている。いいモノを見せてくれた」と目を細める。思い切りのいい若武者が、オリックスの内野バトルに波乱を起こす。【酒井俊作】

◆オリックスの内野争い 二塁は大城、遊撃は安達の起用が決定的な情勢になっている。一塁はT-岡田と新外国人ロドリゲスが競う。また、三塁は中川が最右翼だが、新人の勝俣が食らいつく。太田は安達の休養日の遊撃起用、中川が不在なら三塁争いにも本格参戦する構図になりそうだ。

◆太田椋(おおた・りょう)2001年(平13)2月14日生まれ、大阪府出身。父は元近鉄内野手の暁氏。中学時代は羽曳野ボーイズに所属し、少年野球各リーグ代表で競うジャイアンツカップ優勝。天理では1年夏からベンチ入りし、2年夏に甲子園出場。18年ドラフト1位でオリックス入団。昨季は1軍で6試合に出場も13打数ノーヒット。181センチ、81キロ。右投げ右打ち。