プロ5年目で初の開幕マスクが濃厚な日本ハム宇佐見真吾捕手(27)が、1週間後に迫った大役へ、弾みをつける1発を放った。12日巨人との練習試合(東京ドーム)で、昨季途中まで在籍した古巣のエース菅野智之投手(30)から追加点となる右越えソロ。うれしい“今季1号”となった。守備でも、先発した有原航平投手(27)を好リード。貴重な左打ち捕手は、新天地で大きなチャンスを迎えている。

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右翼フェンスを越えた打球に、胸がいっぱいになった。1点リードで迎えた5回1死、菅野の初球141キロを思い切り引っ張った。「フォークだと思います。1打席目は、振り切れた感じがしなかった。小笠原さんに『バーっと振ってこい』と言われたので、真っすぐに振り負けないようにしました」。狙い通りの一撃は、紅白戦から数えても“今季1号”。しかも、打ったのは球界を代表する右腕だ。「菅野さんとやれること自体、有原さんと組めているからこそのタイミング。ホームランを打てるとは思わなかった」。丸顔に笑みが広がった。

昨季まで在籍した巨人との対戦。入団時は主戦場になるはずだった東京ドームだが、現実は2軍暮らしが多かった。エース菅野とバッテリーを組む機会は、シート打撃ぐらい。17年、プロ2年目の春、シート打撃で打席に立った時には「全然、手が出なかった」と苦笑いする。雲の上の存在だったが「野球のことをたくさん話した。迷っていたら、どういう配球をするかとか、新たな視点を知りたがる」。後輩の意見にも貪欲に耳を傾ける姿勢に、感銘を受けた。

キャンプ中から、実戦では、ずっと有原の球を受けてきた。開幕戦でも、スタメンマスクをかぶる可能性は高い。この日は、2人で話し合ってオープン戦では封じてきた落ちる球を積極的に使い、開幕へ向け仕上げに入った。大卒5年目で、初めて見えてきた開幕マスク。「気持ちの高ぶりというより、相手が(強打の)西武なので。開幕前になったら、そこをどう抑えるかで頭がいっぱいになると思う。自分が3打席凡退しても、有原さんが6回ゼロ、6回1失点ぐらいで終われば、そっちの方が全然いい」。新天地で巡ってきた大役のチャンス。輝く日は、近い。【中島宙恵】