あきれるほどの猛打だ! 楽天が2回に一挙7点を奪うなど、15安打15得点の猛攻で完勝。首位ロッテの連勝を8で止めた。勝利の立役者はそのロッテからFA加入した鈴木大地内野手(30)。移籍後初アーチとなるとなる1号3ランで古巣へ強烈な恩返しを果たした。7月1日には同じ前ロッテの涌井秀章投手(34)が先発予定。勝てば首位に並ぶ。

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鈴木大が驚くほど速く、一目散にベースを1周した。2回に味方打線が4点を奪い、ロッテ先発二木をマウンドから引きずり降ろした直後。1死一、二塁で、2番手中村稔の142キロ直球を右中間スタンドへ運んだ。「ピッチャーが代わったので初球からいこうと。自分としては100点のホームラン」。完璧な一打に一瞬、我を忘れた。

試合前ロッカー室での浅村とのやりとりも、興奮に拍車をかけた。昨季西武から加入した浅村と、古巣との初対戦について話した。浅村は昨年4月9日、県営大宮で西武ニールから左翼場外へ特大の2ランを放っていた。鈴木大はその話を振られると「まさか、自分はそんなのないよ」。そのまさかが現実となった。「気持ちが高ぶりすぎて、かなり速く1周走った。(ベンチで)本当にみんなが喜んでくれていて、うれしいという感情に変わった。思い出に残る1試合になった」。一心不乱に走った後、仲間の姿を見て、ようやく自然な笑顔に戻った。

この日は主砲浅村とロメロにも1発が飛び出した。試合前時点で12球団最多得点タイ(楽天)と最少失点(ロッテ)という好調チーム同士のホコタテ対決は、終わってみれば楽天の15点圧勝。それでも選手たちに緩みはない。反省すべき点も多いからだ。鈴木大自身、初回に併殺打、4回には2度送りバントを失敗した後、見逃し三振した。三木監督は「勝ってヨッシャーというよりも、細かいところをもっと詰めていかないとという思いの方が強い」。鈴木大も「この6連戦、1個でもチームの流れを変えてしまったら、連勝も連敗もある。そこはしっかり反省しなきゃいけない」と何度も繰り返した。

とはいえ大事な首位攻防戦の初戦を取ったのは大きい。「僕のミスの後を救ってくれたチームメートもいましたし、全員で取れた1勝」と大きくうなずいた鈴木大。新しいユニホームになじんできたかと問われると「自分の中では初日からそんなに違和感ないと思っているんですけど」とニヤリ。涌井、酒居とともに、楽天の一員として第2戦でも大暴れする意気込みだ。【千葉修宏】

▽楽天酒居(古巣ロッテを相手に1回無失点)「やっぱり意識はしますね。なんか見透かされているような気持ちにはなりますね。それを意識しすぎると熱くなるので、どれだけ自分のピッチングができるかというところだけ意識して投げました。『やっぱりあいつあかんやん』って思われたくないので、まずそのスタートが切れたのは良かった」

▽楽天弓削(6回3失点で2勝目)「連勝しているチームという先入観がありました。その分、リズムが悪くなり投げ急いでしまいました。コースには投げ切れたと思いますが、要所で甘くなったり、高くなったりしてしまったのは課題です」