ソフトバンクの主砲ウラディミール・バレンティン外野手(36)が、今季2度目の1試合2本塁打で復活の兆しを見せた。日本ハム戦で5試合ぶりに4番に復帰。初回に弾丸ライナーで運んだ3号先制3ランは、6試合、24打席ぶりの安打だった。さらに7回は4号2ラン。守護神森が打たれて逆転サヨナラ負けを喫したが、自らの誕生日を「5ラン」で祝った大砲のバットは明るい材料だ。

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打てなかった1週間分の鬱憤(うっぷん)を晴らすように、バレンティンは感情をあふれさせ豪快にガッツポーズした。初回1死一、三塁の第1打席。バーヘイゲンの外角直球に目いっぱい腕を伸ばし、弾丸ライナーで左中間席へ運んだ。「最近良くない打席が続いていたので打てて良かった」。6試合ぶり安打は先制の3号3ラン。ベンチ前で陽気に両手をクルクル回し「ピーポーポーズ」で喜ぶ主砲の姿に、苦しみを知る仲間たちも一緒になって盛り上がった。

1点リードの7回1死一塁では左翼席へ4号2ラン。「少しバットの先だったけど、打った瞬間にスタンドには入ると思ったよ」。バレンティンらしいパワーあふれる一撃。移籍後初めて、ユニホームの裾を上げる「オールドスタイル」で臨んだことも気分転換になったか。今季2度目の1試合2発と気を吐いた。

2日は36歳の誕生日だった。オフには現地観戦するほどNBA好きの大砲は、自身のSNSに昨季MVPのバックス・アデトクンボのユニホームを着た姿で「ハッピーバースデートゥーミー」と感謝の言葉をアップした。13年に日本記録60本塁打でMVPを獲得した輝きを取り戻さんとばかりに、バスケット界のスーパースターにあやかった。

工藤監督は試合前に「(誕生日を)いいきっかけにしてもらえたら。よし、これからだという切り替えの日にしてほしい」と願っていた。首脳陣は、1日にバレンティンの打順をヤクルト時代の16年以来となる6番に下げるなど、復活の道を模索して待っていた。誕生祝いのようにプレゼントされた「4番起用」にバットで「1発回答」。逆転サヨナラ負けを喫した中で、大砲復活への兆しは明るい材料となった。【山本大地】