中日のドラフト3位岡野祐一郎投手(26=東芝)が、プロ初勝利を挙げた。

2試合目の先発となった阪神戦で5回3安打2失点。4四死球と制球に苦しみながら落ち着いて試合をつくった。

「とてもうれしい気持ちでいっぱいです。ボールが荒れていたのですが、加藤さんがしっかり自分をリードしてくれて、何とか粘れた。シーズンは長い。1軍でずっと活躍できるようにしたい」。お立ち台では喜びと青学大の先輩捕手へ感謝の思いを口にした。

ルーキーらしからぬ落ち着きを漂わせた。初回2死満塁のピンチは梅野をスライダーで二ゴロ。3回に2点を失い1点差とされても粘る。5回2死二、三塁では4番マルテに2ストライクから3球連続でボールとなったが、ひょうひょうと投げて遊ゴロ。126キロのスライダーで切り抜けた。第1戦と第2戦に先発した柳、山本から「大きい変化球が効果がある」とアドバイスを受けた。先発ローテを守る仲間たちから虎退治のバトンをつないだ。

ドラフト1位石川昂ら高卒組、同2位橋本ら大卒組とは違った。東芝から即戦力で加入した右腕は、キャンプから落ち着いていた。「意識して気負うと結果が伴わない」。青学大時代からプロ入りに向けて結果を残そうと発奮した。2年でエースになったものの、2部落ちを経験。東芝では1年目に都市対抗の優秀選手に輝くも、2年目はドラフト指名に漏れ、3年目でプロの門をくぐった苦労人だ。登場曲に選んだのは東芝のCMで使用されるザ・ブルーハーツの「情熱の薔薇」。「東芝時代の気持ちを忘れないため」と、アマ時代の思い出も背負って投げ抜いた。

岡野の初勝利で、チームは今季初の3連勝とし、勝率5割に復帰。入寮時に「きれいな肌でテレビに自分が映るようにならないと」と誓った。無観客でファンの声援はないが、テレビの向こうの竜党へしっかりその顔と背番号36をアピールした。【伊東大介】

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▼中日与田監督(岡野の初勝利で今季初の3連勝)「常に冷静に投げていく。点を取られても淡々としている。さらに勝ちを増やしていきたい」

▼中日加藤(4試合ぶりの先発マスクで青学大の後輩・岡野を好リード)「初回からピンチはあったが、要所でしっかり粘りの投球ができた。要求通りしっかり投げてくれた」

▼中日岡野の父智之さん(57=東京の自宅でテレビ観戦)「感無量です。ドキドキして心臓がいくつあっても足りないです。ルーキーの岡野に1勝をあげようと頑張っていただいたように見えました。チームの皆さんに感謝します」

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◆岡野祐一郎(おかの・ゆういちろう)1994年(平6)4月16日生まれ、宮城県出身。聖光学院-青学大を経て東芝から19年ドラフト3位で中日入り。昨年は日本野球連盟の社会人表彰で最優秀防御率(0・87)に輝いた。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1200万円。