広島が今季初のカード負け越しを喫した。同点の9回に守護神テイラー・スコット投手(28)がヤクルト村上にサヨナラ満塁本塁打を浴びた。前日から野手3選手を入れ替えた打線は13安打5得点と機能する一方で、外国人投手に期待した方程式が崩れた。佐々岡真司監督(52)は配置転換の可能性も示唆した。長期遠征は5勝5敗1分。順位を5位に落とし、本拠地マツダスタジアムから巻き返しを期す。

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村上が打ち上げた大飛球は、無観客の左翼スタンドに飛び込んだ。連勝スタートで始まった佐々岡広島の長期遠征は、サヨナラ満塁本塁打を浴びて終わった。4点のリードを先発九里が吐き出すと、再び1点を勝ち越した7回はセットアッパーのフランスアが西浦に同点弾を浴び、同点の9回はスコットが1アウトを奪うこともできなかった。

課題に挙げた接戦をまたも落とした。佐々岡監督は「やってもらわないといけない選手なんだけど、やられ方がやられ方なのでね…。考えないといけないかな」と配置転換を示唆。期待した外国人リリーバーが精彩を欠く。スコットは登板5試合で3度目の失点。早くも2敗目となった。フランスアも2度目の失点。この日2投手が本塁打を浴びた球はいずれも直球。力負けだった。

投手陣が不安を露呈する一方で、野手陣は層の厚さを見せた。開幕から先発出場を続けていた西川と菊池涼が先発から外れた。西川の代役を担った今季初先発の長野が先制打を放てば、菊池涼に代わって二塁に入った安部も今季初安打を含む複数安打。打線を入れ替えても、「つなぎの野球」は徹底されている。菊池涼は代打でバント安打を決め、西川もネクストサークルで代打待機した。早ければ3日にも先発復帰する可能性もあるが、出場に飢えていた選手の活躍によって攻撃のバリエーションはまた広がった。

2ケタ安打7試合目にして初黒星を喫した。今季初のカード負け越しで順位を5位に下げた。4カード続いた長期ロードは5勝5敗1分けの勝率5割で幕を下ろし、3日に広島に戻る。指揮官は「一から地元に帰ってしっかりやるだけです」と前を向いた。阪神との本拠地開幕は、佐々岡広島が掲げる「守り勝つ野球」再構築への再出発としなければいけない。【前原淳】