ロッテが再び単独首位に返り咲いた。再加速の原動力は、レオネス・マーティン外野手(32)だ。7回に3戦連発の3号ソロ。描いたアーチは、最近取り入れる金属バット練習よりも、よく飛んでいた。「ホームランは気持ちいいね」と夜風に吹かれた。

3回は満塁機に当たり損ねの併殺打。5回に流しての2点適時打で挽回し、7回の3戦連発弾でヒーローになった。3回、5回はともに直前の4番レアードが四球。「レアードと勝負したくないのかなと思った。マーティンもできる、というところを見せてやりたかった」と燃えていた。

3月14日、第4子となるジェイデン君が誕生した。米国への一時帰国中、日本政府が新型コロナウイルス対策で、来日後2週間の指定場所での待機方針を定めた。その施行日がマーティンの再来日予定日。1日早めて帰ってきた。ニュースで知ったファンが心を震わせた。「こんな大変な時に戻ってくれたなんて」「涙が出る」と感謝の言葉がSNS上にあふれた。

コロナ禍は、今なお世界中で収束の気配を見せない。家族のことは大好きだから、当然心配もある。それでも言う。「長い間会えないのは寂しいけれど、野球に集中するしかない」。今は日本での躍動こそが、愛する家族とファンが何より喜ぶこと。再び単独首位にも「まだ始まったばかり。1日1日、できることをしっかりと」と油断はない。ロッテの心優しいムードメーカーが、乗ってきた。【金子真仁】