勝機を嗅ぎつけた。1点を返して2-3で迎えた8回1死一塁。オリックス吉田正尚外野手(26)が小川の甘い球を呼び込んだ。

内角にきた初球132キロを強振。高々と舞った打球は、右翼ポール間際に吸い込まれる逆転3号2ランとなった。「最初はファウルに見えたのでホームランか分からなかった」。時が止まったかのように打球を目で追った直後、笑顔を咲かせてダイヤモンドを周った。これでここ4戦3発。打率も3割8厘まで上昇させてきた。「チームが負けているのは責任を感じている。まだまだここから」。仲間を思う主軸の言葉は重い。

リベンジ成功弾だった。西武の左キラー小川とは4日連続で対戦。ここまで四球、二ゴロ、投ゴロ併殺だったが、1球で仕留めて苦い残像も振り払った。「相手も抑えてくる起用。若いカウントから行こうと思ってました」。同一カード6連戦ならではの一撃で、今季初の逆転勝利に導いた。

打席に立つまでに神経を研ぎ澄ませる。ネクストバッターズサークルで滑り止めのスプレーは使わない。メジャーで主流の「パインタール」を試合直前にバットへ塗って、勝負に挑む。「スプレーだとベタベタするので、自分でロジンを付けて調節するんです。(17年まで在籍した)ブレント・モレルに伝授してもらってからですね」。グリップ部分には塗らず、打席ごとにそれを手につけてなじませる。白いバットの真ん中部分が茶色に変わっているのは、そのためだ。

昨季リーグ王者相手に2勝2敗1分けと五分に戻した。「明日は(山本)由伸が投げる。あと1試合しっかり戦っていきたい」。カード勝ち越しを狙う。【真柴健】

▼オリックスが0-3の劣勢から、今季初の逆転勝ち。今季12球団最遅での逆転勝利となった。なお今季の球団別最多の逆転勝ちは5度で、ヤクルト、DeNA、楽天、ロッテが記録。