ジェームスが、チームを救った。日本ハムの高卒2年目、野村佑希内野手(20)が5日、ソフトバンク戦(札幌ドーム)で決勝アーチを架けた。

3-3の4回、左翼席中段へ2号ソロを放った。2日のプロ1号以来、出場2試合ぶりの1発。売り出し中の新戦力の豪快弾で、チームの連敗を2で止めた。

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確信通りの打球が、左翼席中段で弾んだ。4回、野村が手応え抜群の当たりを飛ばした。「打った瞬間、いったなと思いました」。決勝2号ソロにも、黙々とダイヤモンドを一周した。捉えたのは内角のチェンジアップ。「元々、入団して内角しか打っていなかったので。自分の好きなところは消さずに、やっていきたいなと思います」。鍛錬の成果を表舞台で発揮した。

失敗を振り返り、力に出来るストイックさを持つ。プロ1号から一夜明けた3日ソフトバンク戦。4打数無安打、3三振も、ただでは終わらせなかった。11歳上の中田に、打席での待ち方を聞きに行った。「ただ真っすぐを打ちにいけば良いってもんじゃない、と思いました」。栗山監督からの助言もあり、反省点などをノートに書き記し、日々、成長につなげている。

ミドルネーム「ジェームス」を持つ未来の主軸候補は、ぼくとつに野球と向き合ってきた。入団時、吉田輝や万波ら華がある同期の中で「僕はアイツらとは違うので」と、黙々とバットを振り続けてきた。高卒ルーキーながら、地に足をつけた立ち居振る舞いに、2軍首脳陣は「意識の高さが違う」と目を見張っていた。勝負は1軍の舞台。野村は、言い聞かせるように「いつでも1軍にいけます」を繰り返してきた。有言実行でたどり着いた舞台で、実績を築き始めた。

ソフトバンク6連戦は2勝3敗1分け。2日のプロ1号&逆転サヨナラ打に続き、2勝とも主役を張った。栗山監督は「とにかく小さくならないで、やってほしい」と伸びている芽に期待した。野村は「打つ日もあれば、全く打てなくてやられる日もある。一喜一憂できる立場ではないかなと思います」。慢心とは無縁の素朴な新戦力が、少しずつチームに必要なピースになってきた。【田中彩友美】

▼日本ハム野村が4回、勝ち越し本塁打を放ち、2日ソフトバンク戦の逆転サヨナラ打に次いで今季2度目の勝利打点をマークした。野村は入団2年目。日本ハムで高卒2年目までに勝利打点付きのアーチを打ったのは、大谷(現エンゼルス)が2年目の14年7月5日、20歳の誕生日に藤岡(ロッテ)から先制本塁打で記録して以来となった。