球場に見に来てね! 阪神の新外国人ジャスティン・ボーア内野手(32)が、甲子園開幕の巨人戦で決勝の3号2ランを放った。

7回に苦手にしてきた左腕のメルセデスから右中間最深部へメジャー通算92発のパワーで運んだ。チームは最下位ながら3連勝と上向きだ。10日DeNA戦から上限5000人で熱狂的な虎党が聖地に戻ってくる。「前夜祭」で弾みをつけた。

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一撃必殺のB砲だ。打った瞬間、ボーアは確信して歩き出した。舞い上がった打球は長い滞空時間を挟んでバックスクリーン右に着弾。「ガルシア投手らがいいピッチングをしてくれていたので、どうしても勝ちたかった」。ゆっくり本塁を踏みしめると、重ねた両手を前に突き出して開く代名詞の「ファイアボール」ポーズを味方ベンチに向かってさく裂させた。本拠地開幕戦で聖地1号が出た。

両軍の先発左腕が投げ合い0-0で迎えた「ラッキーセブン」7回の攻撃。無死一塁からメルセデスの甘く入った127キロスライダーを仕留め、2試合連続となる決勝の3号2ラン。2打席凡退の後「自分の中で切り替えてポジティブになった結果、3打席目にいい結果が出たよ」。今季開幕カードの「伝統の一戦」では3タテを食らい、自身も12打数無安打と抑えられた宿敵に1つ借りを返した。

ホームに帰ってきた。チームは開幕から5カード連続ビジターの長期ロードを終え、雨天中止の2試合を挟んでようやく本拠地開幕を迎えた。「クラブハウスで自分のロッカーを見たりして“家”に戻って来たんという気持ちがあった」。自宅ではヘイリー夫人、息子のジミーくんとも再会。「心もすごく癒やされました」。リフレッシュ効果もあってヒーローとなった。

パワーは球場のスピーカーからも得た。球団がチームの応援団の生演奏を収録し、その応援歌やチャンスマーチで後押しした。メジャーにはない選手個人への応援歌。ボーアにも「<歌詞>豪快なパワーで魅せろ-」で始まる歌が流れ、「すごい好きです。ファンから力をもらって自分の力になる」と笑顔を見せた。矢野監督も主砲の1発を手放しで喜んだ。「ホームラン打ってくれ、という思いで見ていた。完璧やったし、やっぱりホームランって大きい。ボーアはそういうところを期待して来てもらった選手。良かったです」。

チームは3連勝と勢いを増し、10日からはファンを迎えて試合が始まる。「ファンのみなさんが球場に来てくださって応援してくれるのはすごくうれしい。テレビの前でもすごく応援してくれているのは分かっていたので、みなさんと一緒にプレーできるのがすごくうれしいです」。今度はファンの前で、豪快な1発を披露する。【奥田隼人】

◆無人だった客席にファンの姿が戻ってくる。プロ野球は政府の指針に沿って、10日から5000人を上限に観客を入れて公式戦を実施する。10日のプロ野球は巨人-ヤクルト、ソフトバンク-楽天などナイター6試合が予定されている。東京を中心に新型コロナウイルスの感染者が増加しているが、各球団やクラブは感染防止対策へ細心の注意を払いつつ、観客の受け入れ態勢を整えている。