福留健在だ! 現役最年長の阪神福留孝介外野手(43)が劇的な逆転勝ちを導いた。2点を追う6回の代打で今季初打点となる2点二塁打。6年ぶりの中堅守備に就くと、再び同点で迎えた8回は中越えに1号決勝2ランを運んだ。開幕から不調が続いたが、敗色ムードを振り払う復活の2安打4打点。チームは4カード連続の勝ち越しを決め、再び最下位を脱出した。

   ◇   ◇   ◇

夜空に舞った白球が一直線に伸びた。球界最年長、43歳福留のひと振りが試合を決めた。6番サンズの同点ソロで追いついた8回1死一塁の場面。ヤクルト清水の初球145キロを狙い澄ましてフルスイング。打球はバックスクリーンの左横に飛び込んだ。「サンズも同点にしてくれて、リュウ(梅野)もつないでくれた。初球からいってやろうと思っていた。打った瞬間、これは届くなと」。土壇場で試合を決める1号2ラン。千両役者は表情を変えることなくダイヤモンドを1周した。

試合の流れを引き寄せたのも背番号8のバットだった。2点を追う6回2死一、二塁。2番手小川の代打で登場すると、2番手近藤の125キロ低めのスライダーに食らいついた。打球は低い弾道で右翼手の頭を越える同点2点適時二塁打。今季甲子園初ヒット。さらに過去12人しかいないNPB通算400二塁打まで、あと5と迫る二塁打で21試合目にして今季初打点を挙げた。

与えられた仕事を全うする。6月26日DeNA戦(横浜スタジアム)の先発出場を最後に控えに回った。運動量を減らさないように、練習前のグラウンドでは黙々とランニングを続ける。9日には打席確保のために2軍戦にも志願出場。7回からは6年ぶりに中堅の守備についたが、「今日初めて守ったわけでもないですし、いろんなことを出来るように準備している」。試合中はベンチの前列に陣取り、この日は戻ってきた先発中田にアドバイスを送る場面もあった。

故郷にも勇気を与えた。今月上旬から九州地方を襲った豪雨。福留の出身地である鹿児島も例外ではなかった。幼少期を過ごした大崎町では記録的な大雨を観測。町内は国道など至る所が冠水し、土砂崩れも発生した。中学時代に白球を追った鹿屋市内のグラウンド周辺も大きな被害に見舞われた。広島遠征中だった6日には親族に連絡を入れて安否を確認したほどだ。厳しいプロの世界で活躍を続ける福留の姿は、今でも地元の人たちのパワーになっている。

大ベテランの劇弾でチームは最下位を脱出し、4カード連続の勝ち越しを決めた。矢野監督は「いやもう、うれしいです。叫びたいくらいうれしい」と両手を広げてヒーローを出迎えた。超満員とはいかないが、この日も4461人がスタンドから試合を見つめた。福留は心強い虎党の存在について「打席でコールされた時に勇気にもなるし、ありがたい」と感謝し、「明日からもみんなで粘っていいゲームをしたい」と約束。頼れる野球職人が、追い込まれた虎を救った。【桝井聡】

▼福留の1試合4打点以上は国内28度目(メジャー5度)。過去はいずれも先発した試合で、途中出場して4打点は日米通じて初となった。