エースの意地を、体現した。日本ハム有原が、待望の今季初勝利を挙げた。登板5試合目。再三のピンチをはねのけ、6回8安打2失点の粘り勝ち。「僕の投げる試合で負けていたので、ここからまた頑張りたい」と誓い直した。ともに未勝利だったロッテの開幕投手石川との我慢比べを制した。

要所で、効果的に変化球を操った。1点を勝ち越した直後の2回2死満塁。マーティンを、高めのチェンジアップで見逃し三振。再び2点を勝ち越し後の5回1死一、二塁では、岡をツーシームで遊ゴロ併殺打に仕留めた。

打線の援護に力をもらい、頭は冷静だった。「今回は丁寧に、際どいところに攻めていったのが効果的になったのかな」。最速154キロの直球を軸に、ピンチを迎えても緩急織り交ぜて痛打を許さなかった。球数は今季最多127球の熱投だった。

ヒーローインタビューでは「本当にチームに迷惑をかけていたので、何とか1勝できて良かったです」と、かみしめた。歓喜するファンが帰ってきた札幌ドーム。エースも、タフさを増して帰ってきた。【田中彩友美】

▼最後の一線を越えさせなかった有原 46球のボール球を投じるなど制球に苦しんだ。テンポの悪さも自覚していたようだが、得点圏に走者を置いた時には、際どいコースに投げきれていた。2つの四球を除き、唯一の甘い球は2回無死満塁でマーティンに投げたチェンジアップ。高めに浮く危ない球だったが、見逃し三振で、事なきを得た。