1カ月遅れの開幕へ。広島野村祐輔投手(31)が20日、マツダスタジアムで行われた先発練習に参加した。春季キャンプ序盤の右ふくらはぎ痛から復帰。ウエスタン・リーグでは5試合で1勝2敗、防御率2・92。21日からの阪神3連戦での先発が予想される。広島の日本人先発投手では最年長で、通算71勝は広島の現役投手最多。実績十分の右腕が、低迷するチームの救世主に名乗りを上げた。

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開幕から1カ月、ようやく背番号19が1軍に姿を見せた。マツダスタジアムで行われた投手練習。大瀬良や現在登録抹消中の森下ら先発陣の輪に、野村が加わった。昨年までプロ入りから8年連続で開幕ローテーションに入り、18年には開幕投手も務めた。広島の日本人先発投手では最年長。通算71勝は広島の現役投手では最多。実績十分の右腕は地に足をつけ、1カ月遅れの開幕を迎えようとしている。

「投手陣の中では一番上なので、ここから何とか引っ張っていけるように。自分でも悔しいですし、チームにも申し訳ないことをしたので、ここからはしっかりとできるようにやっていきたいと思います」。

春季キャンプ序盤に右ふくらはぎを痛め、初めて開幕を2軍で迎えた。離脱してから体を鍛えなおし、3月11日に実戦復帰。新型コロナウイルスの影響による自粛期間で実戦登板の機会を失い、復帰が遅れた。ウエスタン・リーグ開幕とともに結果を求めながら、新たな取り組みも並行した。「いろんなところに意識を置くようにした。(体の状態によって)いつも同じには投げられない。いろいろ発見はできました」。6月に31歳となった。コンディションに左右されない形を探った。

待ちわびた昇格だった。先発の谷間だった16日巨人戦は中継ぎ陣でつなぐ“ブルペンデー”。言葉にはしないが、悔しさはあった。「チームがこういう状況なので、勝つしかない。頑張ります。ここからです」。穏やかな右腕が、珍しく力強く巻き返しを誓った。

21日から始まる阪神3連戦での先発が見込まれる。チームは今季、まだ週前半のカード勝ち越しがない。「(今季初登板は)力も入るだろうし、いろんなことがあると思いますけど、冷静さをなくしたくない。悔しさは自分の中にはあるので、それをしっかりと持っていけたら」。思いを白球に乗せ、反攻の旗手となる。【前原淳】