楽天涌井秀章投手が今季最多131球の熱投も、自身初の開幕5戦5勝とはならなかった。

立ち上がりから飛ばした。4回まで1人の走者も出さない完璧投球。最速149キロの直球、スライダー、シンカーなどで的を絞らせなかった。7回途中4安打10奪三振2失点で勝ち投手の権利を持って降板。だが、今季から守護神を務める森原が2点リードを守りきれず逆転負け。降板する森原の背中をたたいて迎えた涌井は「勝ちが消えてしまったことは全然気にしていない。森原には今日のことを糧にして、また明日から切り替えて頑張ってもらえれば」とフォローした。

自身も反省を忘れない。6回を終え116球。7回もマウンドに上がったが先頭ジョーンズに四球。天を仰いだ。続くT-岡田を空振り三振としたところで交代を告げられた。「7回を投げ切れなかったというのがこういう結果につながったかなと思います」と振り返った。

 

◆力強かった涌井

9分割の真ん中3コースに、直球を示す「○」が集中している。ストライクゾーン内での力勝負を選択し、オリックス打線を封じ込めた。要所で傾向が強くなり、6回1死の吉田正には、2球目から内外高低の直球を3球続けて押し、最後はインローのスライダーで空振り三振。7回無死一塁のT-岡田にも、初球から直球を5球も並べ、最後はインローのスライダーを振らせた。変化球を操る印象が強いが、元来は本格派。本領を発揮した。