プロ6年目のオリックス斎藤綱記投手(23)が、生まれ育った北海道・札幌で初勝利を手にした。2-2の6回1死一塁で登板。宇佐見を2球で2ストライクと追い込み、スライダーで空振り三振。続く中島も5球目の、大きく変化するスライダーで空振り三振に打ち取った。「うれしいの一言。頑張ってきてよかった」と声を弾ませた。

プロ5年の苦労が、8球で報われた。打者との早いカウントでの勝負は、先輩左腕の山田に助言を求めた結果。日本ハムの本拠地とはいえ、札幌の野球ファンに成長した姿を見せた。

プロ3年目のオフに左肘を下げ、サイドスローになった。きっかけは17年ドラフト1位の田嶋の入団。同じ左腕が18年から1軍の先発陣に加わったことで、斎藤は生きる道を探した。「(投球フォーム変更は)めっちゃいやだったんですけど、プロで投げるためにはそれしかないと思った」。葛藤を抑え込んだ。

1軍生活が長続きしなかった過去とは違い、今季は厳しい場面に耐えうる力を首脳陣にアピール。「昨年に比べて左打者のインコースに真っすぐを使えるようになったのが大きい。スライダーも速くなって、曲がりが大きくなった」と明かす。投球フォームが身につき、頼れる武器を手に入れた。西村監督も「今までの内容とは全く違う。成長してきている」と競り合いの場面で斎藤を送り出した。

チームの連敗を4で止めた、価値あるプロ1勝。「ここで勝てたのは記憶に残ります。地元なので。ウイニングボールは両親に」と笑った。力強い1軍戦力が誕生した。【堀まどか】

◆斎藤綱記(さいとう・こうき)1996年(平8)12月18日、北海道札幌市生まれ。北照では2年夏に甲子園出場。14年ドラフト5位でオリックス入団。16年9月12日楽天戦でプロ初登板。18年からサイドスローに転向。182センチ、89キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸700万円。