「直球破壊王子」が本領発揮した。日本ハム渡辺諒内野手(25)が1日、オリックス11回戦(札幌ドーム)の6回、2死満塁のビッグチャンスで、得意とする直球を左前へはじき返す先制&決勝打を放った。

オープン戦と練習試合では好調も、開幕後は波に乗れずスタメン落ちも経験。不振を乗り越え、チームを勝利に導いた。

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手に汗握る投手戦の均衡を破ったのは、「直球破壊王子」渡辺のバットだった。前の大田が四球で歩いた6回2死満塁。「(大田)泰示さんのカウントが悪くなった時点で、僕で勝負にくるかなと思っていた」。カウント1-3となり、覚悟は決まった。「100%、絶対ボールになっちゃいけない球といったら真っすぐ」。左腕田嶋の147キロ、狙い澄ました直球を左前に運んだ。

直球をしっかりとはじき返す技術はチーム随一。開幕前の練習試合では、巨人菅野のストレートをスタンドまでかっ飛ばし、周囲を驚かせた。この日はフォークを見極めて3ボールまで持ち込んだ時点で、勝負あり。栗山監督も「いろいろ苦しんだ中で、らしくなってきた。これで思い切って野球をやれると思う」と目を細めた。

オープン戦、練習試合と好成績を残しながら、開幕後は不振にあえいだ。前カードのソフトバンク戦からは、3試合連続のスタメン落ち。「本当に結果を出さなかったらスタメンを外れますし、そういった世界なので」。苦しい中でも前を向き、練習に汗を流してきた。7月30日オリックス戦で猛打賞を記録し、この日は決勝打。「悔しい思いをした中で、今週良い結果を残せたので、来週からもしっかりアピールして結果を残していきたい」と、復調を予感させた。

4日からは西武を迎えての本拠地6連戦。「打ち損じたりも多いので、もっと練習して、いい状態を目指していきたい。なんとか食らい付いて、そこでまた勝ち越しできたらいい」。上位浮上へ、打線に渡辺の力は欠かせない。【山崎純一】