ハマの「IT(意識高い)エース」こと今永昇太投手(26)が、7者連続を含む7回10奪三振2失点の力投で4勝目を挙げた。2点を勝ち越して迎えた5回無死から7回1死まで圧巻の奪三振ショー。侍ジャパンでもエース候補となる左腕が底力を見せ、チームは引き分けを挟んで3連勝。7月16日以来の貯金1をもたらした。

エース今永にスイッチが入った。互いに開幕投手を務めた阪神西勇との3度目の直接対決。4回に制球を乱して2点を失った左腕が、5回の4番佐野の勝ち越し2ランで目を覚ました。

今永 4回にふがいないピッチングをしてしまい、コーチから強がっても良いから弱気な姿を見せるなと言われ意識をしました。三振は狙ってはいませんでしたが三振からテンポが良くなりました。

5回無死、西勇から空振り三振を奪うと、7回無死の梅野まで7者連続奪三振。続く木浪は右飛で記録は途絶え、代打北條にはこの日5本目の安打を許したが、最後は代打中谷を空振り三振。10奪三振をマークし、納得の表情でベンチへ引き揚げた。

この日まで3勝2敗、防御率2・92は立派な数字だが、意識高きエースには不満が残っていた。前回登板の25日広島戦(横浜)の前には「悪いなりにもそれなりに抑えることは出来ている。でも、調子が良い時は相手を圧倒して『手も足も出ない』という部分を見せつけていかないといけない。いつでも点を取れると思われてしまってはダメ。圧倒できるところを他の5球団に見せつけていかないと」。ただのローテーション投手ではなく侍ジャパンでも軸となる「絶対的エース」としての自覚のあらわれだ。

この日は140キロ台後半の直球を軸に、110キロ台のカーブで緩急をつけ、得意のチェンジアップで空振りの山を築いた。中盤はまさに猛虎打線に「手も足も出させない」投球。東京オリンピックが開催されていればフル回転していたであろう左腕が“期間中”に最高のパフォーマンス。奪三振54は巨人菅野らを抜いてリーグ1位に浮上。トップだった奪三振率は11・05にまで上昇した。

雨中の開幕戦では、敗れてなお広島大瀬良の好投に目を凝らし、タイプの異なる西勇からも「投げていて勉強になる投手なので、必ず投げ合いを制したい」と意識高く臨んで結果を示した。IT企業DeNAのITエースが、さらなる高みを目指していく。【鈴木正章】

▼今永が5回の西勇から7回の梅野まで7者連続奪三振。7者連続奪三振は18年の菅野(巨人)と松井(楽天)以来だが、DeNAでは60年鈴木隆(8者連続)94年佐々木(7者連続)に次いで26年ぶり3人目。