虎のエースが伝説に挑戦! 阪神西勇輝投手(29)が自然体で偉業に挑む。24日は甲子園で調整し、25日のヤクルト戦(神宮)での先発に備えた。前回の17日巨人戦(東京ドーム)で2試合連続の完封勝利を達成。3試合連続を果たせば阪神では66年バッキー以来で、すべて無四球なら球団初の快挙だ。首位巨人に今季最大タイの11・5ゲーム差をつけられたが、頼れる大黒柱が苦境でチームを引っ張る。

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先発投手の偉業を目前にしても、西勇に心のブレは一切ない。この日は晴れた甲子園でキャッチボールやダッシュで入念に調整。25日のヤクルト戦先発に備えた。ここまで、2試合連続完封勝利中。3戦目もシャットアウト勝ちなら球団では66年バッキー以来、54年ぶりの快挙だ。セ・リーグでは18年巨人菅野以来で、エースの「勲章」だが落ち着き払って言う。

「完封というのは、できて当たり前、とかでできるものではないので、記録よりも自分の仕事をすることを大切に1球1球、投げていきたいですね」

ペナントレースを左右する9月は3戦3勝で防御率1・05と好調だ。前回登板の17日巨人戦で4安打0封勝ち。2戦連続完封勝利は阪神の日本人投手では92年湯舟以来、28年ぶりだ。しかも2戦とも無四球でのシャットアウト。阪神では69年若生以来、51年ぶりだった。無四球完封が3戦連続なら球団では2リーグ分立後、初のケースになる。まさに前人未到のチャレンジだが、あくまで自然体だ。

「できたらうれしいですし、できたことに越したことはないですが、まずは自分の仕事をまっとうしたいですね」

チームは貯金3で2位を走るが首位巨人と今季ワーストタイの11・5ゲーム差まで広がる。残り39戦で「挑戦権」を得るためにも、これ以上、停滞するわけにいかない。前回の9連戦では先発で勝ち星を挙げたのは西勇だけ。来週は試練の13連戦を控えるなかで右腕がチームのために腕を振る。

神宮では今季1戦1勝など、オリックス時代から4試合で負けなしの3勝と相性がいい。それでも「そんな感覚はないですね。しっかり雰囲気やマウンド、状況を考えながらやっていけたら」とスキはない。遠く離れた巨人の背中をとらえるためにも、大黒柱のマウンドさばきで快進撃の流れを作りたいところだ。【酒井俊作】

◆ジーン・バッキー 1937年8月12日、米国ルイジアナ州生まれ。マイナーを経て62年途中に阪神へテスト入団。64年には29勝を挙げ、最多勝とともに外国人初の沢村賞を受賞。69年近鉄に移り同年引退。日本通算251試合、100勝80敗、防御率2・34。