日本ハム大田泰示外野手(30)が大逆転勝利を決めた。26日、オリックス13回戦(京セラドーム大阪)の延長10回に、右翼前方へポトリと落ちる決勝の適時三塁打を放った。

これで連続試合安打も「19」に伸ばした絶好調男の執念の一打で、9回に3点差を追いついた粘りの試合はハッピーエンド。連敗を阻止したチームは今季40勝目を挙げた。

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私心を捨てた“熟成のマッスルパワー”が、土壇場で奇跡を起こした。4-4の延長10回2死一塁。ここまで無安打の大田に、第5打席が回ってきた。「本当に、つなぐことだけを考えて。最高の結果で一、三塁をつくれればいいかなと」。謙虚で純粋な思いは、想像を超える結果となった。「頼む、落ちてくれ!」。不思議な力が宿った飛球は右翼前方へポトリと落ちるテキサス安打。右翼ファウルゾーンへ打球が転々とする間に、一塁走者の渡辺が生還する決勝の適時三塁打となった。

フォア・ザ・チームの精神がもたらした、大どんでん返しだ。3点を追う9回の攻撃も、起点は大田だった。1死無走者から8球粘って、四球を選んだ。それまでの3打席はいずれも凡退。25日まで積み上げてきた18試合連続安打が止まった-との思いは、全くなかったという。

大田 そんなことは、あんまり思わなかったです。でも、ヒット…それは自分よがりですし、ディクソンもいい球を投げるので、なんとか塁に出れば、チャンスがあると思った。

胸板の厚さよりも大きな仲間への信頼が、代打清宮の同点適時二塁打を呼び込んだ。「そういうフォアボールを選べたというのも、自分の自信につながる。いい打席だったと思います」と胸を張った。

自らが起点となったミラクルが延長10回の第5打席を引き寄せ、チームを救うとともに、自身の記録も伸ばす劇的な一打につながった。「たまたまなのか、必然的なのか。分からないですけど、毎日ヒットを打てるように、これからも頑張っていきたい」。9月5日から続けるヒットパレードは、きっと偶然ではない。献身的なプレーを続けるからこそ、巡ってきたビッグウエーブだ。「明日もチームが勝てるようにバッティングしていきたい」。筋骨隆々の大田は逆転CS、逆転優勝だって諦めることはない。力強く、チームも大きな波に乗せていく。