大地が勝機のカギをにぎる。楽天鈴木大地内野手(31)の“打ち出の小づち”が得点力に直結している。リーグ最多112安打で打率3割2分2厘。バットを自由自在に操り、主に「2番」として戦略的な役割を担う。現状は1番小深田が出塁機会が増え、そうなれば一層の効果を発揮する。

9月30日のソフトバンク戦では1回無死一塁から左翼線への先制適時二塁打で終始優勢へ持ち込んだ。5点リードの2回無死三塁で四球を選びチャンスメーク。追い込まれれば進塁打を意識し、やみくもに初球からスイングする打席はない。状況を把握し、ベンチの動きに気を配り、相手の急所を突いていく。

効果的な仕事ぶりはデータにも如実に表れる。2番で先発の72試合はチーム362得点、1試合平均5・0点。36勝33敗3分けと勝ち越している。一方、2番以外で先発の16試合はチーム59得点で1試合平均3・7点に減少。7勝9敗と負け越しに転じる。勝機をかぎ分ける嗅覚を打席で発揮している。

やや不振に苦しむ3番浅村に得点圏で打順を回せば、復調の手助けになる。1番小深田の打力と足を、生かすも殺すも「2番鈴木大」次第と言っても過言ではない。FA加入1年目。生まれ持ったリーダーシップで仲間を突き動かす。「誰ひとり諦めていない。1つでも上にいけるように頑張ります」。1点でも多く、1つでも先の塁に、ほしいものがある。(データは9月30日時点)【為田聡史】