阪神原口文仁捕手(28)が、今季4戦4敗と苦しめられた巨人菅野を打ち砕いた。1-1同点の7回2死一、二塁。好投の先発高橋の代打で登場し、1ボールから外角148キロ直球を中前に運んだ。「甘い球が何球もくる投手ではないので、一振りで決める気持ちで打席に立ちました」。値千金の勝ち越しタイムリー。球界屈指の右腕とは今季初対戦だったが、代打の切り札がここ一番で決めた。

勝負強さを取り戻した。打撃不振で8月中旬に2軍落ち。ファームで実戦を重ね、1打席への集中力を研ぎ澄ましてきた。9月中旬の再昇格後は45打数15安打で打率3割3分3厘。代打に限れば13打数6安打で打率4割6分2厘、1本塁打、6打点まで数字は跳ね上がる。「前半戦はなかなか調子が上がらない中で、チームに貢献できていなかった。今こうやって少しずつ結果が出てうれしい」。高橋に白星も届け「そこの代打だったので、勝ちがついて本当に僕もうれしい」と喜んだ。

矢野監督も笑顔でたたえた。「こちらも自信をもって送り出せる。1打席にかける経験とか、そういうものはフミ(原口)はしっかり持っている。その強みを出してくれている」。途中出場ながら、3試合連続打点と勢いは止まらない。原口は「出たところで結果を出すことが、チームのためになると思う。集中してこれからもやっていきたい」ときりり。意地の巨人連倒へ、牙を研ぐ。【奥田隼人】