巨人から1位指名された亜大・平内(へいない)龍太投手(4年=神戸国際大付)は、集まった約25人の部員の拍手に祝福され「こんなに早く呼ばれるとは思っていなかったので、素直にうれしいです」と照れくさそうに笑った。

プロ野球へは特別な思いがある。永井智浩ソフトバンク編成育成本部長兼スカウト育成部長(45)を伯父に持ち、幼少時は永井氏の父で平内の祖父にあたる千春さん(69)に連れられ球場で応援した。「お前も大きくなったらあそこで投げるんだぞ」。祖父の言葉に少年は目を輝かせ、小1から野球を始めた。そんな平内の野球を支えた千春さんが、昨年12月16日、病気で他界。「ずっと僕の野球を応援してくれていた。プロに行く姿を見せたかった」と涙した。

祖父との約束を守る。祖父の右手の遺骨が入ったペンダントを身に着け、ドラフト指名を目指した。3月25日には右肘クリーニング手術を受けリハビリに、自粛期間はトレーニングに没頭した。上半身と体幹を重点的に鍛え「全身の力が、より球に伝わるようになった」。今秋のリーグ戦では自己最速156キロを記録。力のある真っすぐとキレのある変化球。三振が取れるスプリットで一躍ドラフト1位へ躍り出た。

「きっと祖父は天国で見てくれていると思う」。次は、プロ野球の活躍する姿を見せる。チームメートの祝福を浴びながら、平内は胸元のペンダントをぎゅっと握りしめた。【保坂淑子】