脱・二刀流の末に、レギュラーをつかんだ。東都1部の立正大は、埼玉・熊谷のグラウンドで自主練習を続けている。新型コロナウイルスの影響で、全体練習開始を2月からに遅らせた。19日も10人以内のグループ別に体を動かしたが、ティー打撃で乾いた打音を響かせたのは宮崎大輔内野手(3年=川越工)だ。「がむしゃらにやるしかありません。泥臭く、いい意味で自分を信じない。過信せずに、やっていきたい」と最終学年へ意気込んだ。

高校時代は投打二刀流で鳴らした。3番三塁で打線の軸を担い、最速144キロ右腕としてリリーフにも上がった。強豪私学がひしめく埼玉で、県立校が奮闘。最後の夏は8強まで進んだ。投手としてプロにも注目されたが、進学を選んだ。

当初は、大学でも二刀流を目指した。だが、現実は甘くなかった。「中途半端になってしまって。迷惑はかけられない」と、1年の終わりに打者専念を決断。すると、直後のキャンプで初めてAチームに加わった。ところが「呼ばれただけで満足してしまいました」。定着できず、神宮デビューは遠かった。

あっという間の2年間。このままでは、メンバー外のまま終わってしまう。反省を生かした。「3年春に代打でデビュー。秋にはレギュラー。1年間のイメージを持ちました」。春こそコロナでリーグ戦中止となったが、秋、ついに公式戦デビュー。そのまま、三塁のレギュラーをつかんだ。「野球に対する考えが変わりました。1つ1つのプレーを軽率にしない。正直、肩を温めるだけだったキャッチボールも、回転を意識してやるようになりました」。足元から見つめ直した。

もっとも、まだまだ満足できない。昨秋は全10試合に出て、初本塁打を放ち、規定打席にも達したが、打率は1割7分9厘に沈んだ。「チャンスの1打を。3割5分を狙いたい」と今春の目標を掲げる。

昨秋は優勝した亜大に1勝差の2位と健闘。ただ、主力の多くは4年生だった。宮崎はリーグ戦を経験した貴重な存在だ。坂田精二郎監督(46)は「足もあるし、3番を打ってくれれば。数少ないリーグ戦経験者。引っ張って欲しい」と、50メートル走6秒1の足にも期待する。宮崎は「背中で引っ張っていければ」と口元を引き締めた。【古川真弥】