巨人元木大介ヘッドコーチが繊細に“言葉配り”する。

オープン戦の長期ロードが、札幌、福岡を経て、半ばに差し掛かろうとしている。今日11日に大阪入り。若手にとっては開幕1軍生き残りのサバイバルも真っ最中。主力の調整も最終段階に入っていく。選手を見極め、調整を円滑に進めるために首脳陣は緻密にプランニングをする。

大阪から当初の予定通り、ベテラン中島が合流する。一方で1軍本隊から陽岱鋼、石川の2選手が離れる。元木ヘッドコーチは「岱鋼と慎吾は調子が悪いとかじゃなくて、打席数が減ってきているので、2軍に落ちるというよりも、下で試合に出て調整してきてくれと、お願いした。その中で若い選手が結果出さなかったらというのもあるし、そんな甘くないよと厳しくしていかないと。(2人は)落ちたって感じではない」と丁寧に説明した。

開幕後の1軍登録は31人、ベンチ入りは26人。枠の争いはシーズンを通して続く。同時に31人だけでシーズンを戦い抜くことは不可能に近い。チームのスローガンにも掲げている「1Team」は1、2、3軍が束になって戦うことを意味している。選手を育てるためにときには突き放すこともある。だが、尊敬が故の配慮もチームを動かしていくためには必要要素になる。元木ヘッドコーチの陽岱鋼、石川の調整についての説明は選手本人を思いやる“言葉配り”があり、チーム全体の士気を高める明確な意図があった。

名古屋から合流することになった亀井についての説明も同じだった。9日の出場予定だった2軍戦の試合前にふくらはぎに打球が当たり大事をとって欠場。「大事をとってという形。もうベテランだから。また、そうやって上がってくるとだれか入れ替えないといけないし。カメは自分で調整できる選手だし、下であろうと上であろうと試合出てたら大丈夫だと思うので」とジャイアンツ球場で調整するベテランと意思疎通した。

開幕を待ちわびるファンへのメッセージも込めた。10日ソフトバンク戦の8回2死二塁で松原が左前打を放つも二塁で走塁死した。「ミスだね。コーチの指示もあると思うし、自分で見ないといけない。やっぱりそこは自分で見なきゃ」とプレーを指摘。さらに「大歓声になってくるとコーチャーの声なんて聞こえないし。そういうところ自分で判断できるような選手にならないとレギュラーってのはまだまだとれないんじゃないのかな」。緊急事態宣言が延長され、東京ドームは上限5000人に制限されている。開幕後の観客動員数等の詳細は未定。静まりかえるスタンドにはどうしても違和感がある。満員のファンが奏でる大歓声の中で戦う日を元木ヘッドコーチも心待ちしている。【為田聡史】