巨人戸田懐生投手(20)が雨の甲子園でプロ初登板で躍動した。6点を追う8回から4番手で登板。阪神サンズへのプロ第1球はど真ん中の145キロ直球で左前打とされた。それでも、続く木浪を直球で中飛、梅野を低めの変化球で遊ゴロ併殺に打ち取り、1回1安打無失点で堂々のプロデビューを飾った。「中継ぎはあまり経験がなかった。もっと足が震えるくらいになるのかなと思ったけど、思ったより投げられました」と振り返った。

東海大菅生では2年夏に甲子園に出場したが、右肘のケガの影響もあり、2年秋に中退した。およそ1年間、野球から離れ地元名古屋の通信制のKTCおおぞら高でひっそりと過ごした。それでも野球が諦めきれず、ケガが癒えると、プロ入りを目指して四国IL・徳島に入団。身長170センチと小柄ながら2段モーション&軸足をヒールアップするダイナミックなフォームを身につけ、キレのある直球と強気に攻める投球スタイルで活躍。再び名を挙げ、20年育成ドラフト7位で巨人入りをつかんだ。ルーキーイヤーの今季は2軍で6戦3勝と結果を残し、7日に支配下選手契約を勝ち取った。

紆余(うよ)曲折あった野球人生が、高校時代に輝きを放った甲子園で再スタートした。「高校野球と違って、すごい、また違ういい景色。こういう良い舞台で投げさせてもらえたというのはすごいうれしいです」。小さな巨人の快進撃が始まった。【小早川宗一郎】