日本ハム立野和明投手が今季限りでの現役引退を発表した斎藤佑樹投手へ贈る快投を披露した。

先発前夜、立野は斎藤と連絡を取り合っていた。その中で「俺に勝利を届けてくれ」とメッセージが届いたが、真意は気付いていなかった。一夜明け、現役引退の一報を耳にして驚いた。入団時から世話になっており「つらいところを表に出さない人。見習っていきたい」と尊敬する先輩の節目の日に託された思いに応えるべくマウンドへ上がった。

初対戦の山賊打線にもひるむことなく立ち向かった。初回1死一,二塁のピンチを招くも「焦らずいこうと優心さんと話していたので落ち着いていました」と冷静だった。「ここ最近真っすぐの調子が良い」と4番中村を144キロの直球で空振り三振。後続も打ち取り無失点で立ち上がり勢いに乗った。2回は5球、3回は8球で3者凡退。テンポよくアウトを重ねた。

6回再び1死一,二塁のピンチで中村の場面。「疲れもあったけど、途中で代わりたくはなかった」と力を振り絞った。スライダーで3球三振。続くピンチで呉念庭に一、二塁間へ痛烈な打球を浴びるも、一塁手の高浜が横っ跳びで好捕。この日最大のピンチを脱し安堵(あんど)の表情でベンチへ帰った。

6回3安打無失点で勝ち投手の権利を得て降板も、チームは逆転負けで斎藤に白星は届けられなかった。それでも試合後の立野は「勝てなかったけど全力でやって無失点に抑えられたので、良かったと思います」と振り返った。次の登板で白星を届ける。【小林憲治】