中日山井大介投手(43)が7日、名古屋市のバンテリンドームで現役引退会見を行った。9月30日に引退を発表。13日ヤクルト戦(バンテリンドーム)で引退を発表している藤井淳志外野手(40)とともに引退セレモニーが行われる。

「投げているときに何か力が湧いてくるのかなと思ったが、そういう気持ちにもならず、エンジンもかかってこず、終わりかなと、1球1球をかみしめながら投げてました」

9月23日に加藤球団代表から戦力外通告を受け、即答を避けた。翌24日のウエスタン・リーグ広島戦(由宇)に先発し、5回5安打3失点。このマウンドでユニホームに決別することを決めた。今季は2軍で先発ローテーションを守り、昇格をにらんだが、1軍昇格はかなわなかった。

山井は、日本ハムと対戦した07年の日本シリーズ第5戦に先発。パーフェクト目前の9回に降板し岩瀬との完全試合リレーでチームを53年ぶりの日本一に導いた。

「優勝することに向かってやってきたことがあの1試合になった。そこには野手の方もいれば監督、コーチ、スタッフもいる。多くのファンのみなさんが背中を押してくれて、あの一瞬が訪れた。忘れることができない素晴らしい1日。プレーヤーとして最高の瞬間を味わわせてもらった」

時折涙ぐみながら野球人生を振り返った。優勝、日本一を知る右腕は、後輩たちへ「強いときのドラゴンズのようにもっと熱くなって欲しい」とエールも送った。

「山あり谷ありの野球人生に二重丸、花丸をあげたい」。指導者として再びユニホームを着ることにも意欲を見せ、現役最年長投手が20年のプロ人生の幕を下ろした。【伊東大介】

◆山井大介(やまい・だいすけ)1978年(昭53)5月10日、大阪府生まれ。神戸弘陵-奈良産大-河合楽器を経て、01年ドラフト6巡目で中日入団。新人年から31試合登板し6勝をマークするなど、先発と中継ぎで活躍。36歳の14年に初タイトルの最多勝と最高勝率の2冠を獲得し、国内FA権も得たが行使せず残留した。通算成績は335試合で62勝70敗20セーブ、防御率3・75。179センチ、86キロ、右投げ右打ち。