パ・リーグはオリックスとロッテの白熱の優勝争いが続くが、球界の名物オーナーで知られるオリックス宮内義彦オーナー(86)も、25年ぶりの“そのとき”を心待ちにしている。95、96年の連覇のあと、ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた。折々のオーナー語録を振り返る第9回。2013年は、宮内オーナーがオーナー会議の議長としての重責を担った1年でもあった。統一球問題で球界が揺れ、当時のコミッショナーが辞任。次期コミッショナーの人選で、球界をまとめた。当時は温かく厳しい視線で、森脇オリックスを見守った。

【2013年】▽2月9日 春季宮古島キャンプ視察で「ずいぶんチームに欠けていた部分を補ったわけですから。10年続けて同じことを言うのは照れますが、今年は優勝するというわけです。とにかく昨年の6位が想定外だった」とチーム力に期待した。

▽同11日 3日間の宮古島キャンプの視察を終え「明るいのと緊張感がミックスされている」と雰囲気に感心。パの混戦模様を「3勝2敗で優勝、2勝3敗でビリ」と表現し「ごくごくわずかなところを改善すれば最後の1勝は取れる」と断言した。2年ぶりに投球も行い「ホームまで届きました」とご機嫌だった。

▽3月12日 激励会でチームにプレッシャーをかけた。昨年も優勝を宣言したが「なんたることか最下位でした。申し訳ないことでした。私も毎年、うそつきオーナーと言われるのはイヤでございます。だから(優勝と)申しませんがチームはわかっていると思います」と森脇監督らを凝視。

▽9月19日 統一球問題で、混乱の責任を取って加藤コミッショナーが辞意を表明。オーナー会議の議長として、次期コミッショナーの「招聘(しょうへい)役」を務めることに。「リーダーシップをとるということではなく、リエゾン(連絡)役としての機能を果たしたい」と決意表明。人選については非常に難しい。相手のあることで、早くに外部にもれると失礼にあたる」とした上で「ひそかに何人かの名前が出てくるのかもしれない」と話した。

▽10月21日 次期コミッショナーの人選が難航し「組織改革をできる人と、ビジネスとして市場開拓ができる人のどちらが重要かというところ。常務理事というか、下に強力な人を加え、分担して野球界とビジネス界に関わる責任者を置いた方がいいという意見も出た」とコメント。

▽同30日 森脇監督からシーズンの報告を受け、辛抱禁止令を通達。「選手起用に関して辛抱しすぎだ」と采配にチクリ。5年連続Bクラスとなる5位に沈んだチームの弱点についても「なんとしても勝つというところに、欠点があるかもしれない」と指摘した。

▽11月22日 次期コミッショナーに熊崎コミッショナー顧問を推すセ・リーグと、ビジネス感覚を持つ実務派を要望するパ・リーグの意見はまとまらず。コミッショナー代行を務める宮内オーナーは「12球団の合意を得るコミッショナーをまだ見つけることができません」と、混沌(こんとん)の情勢を説明。

▽12月26日 セ・リーグとパ・リーグの意見が分かれていた次期コミッショナーの人選を熊崎新コミッショナーでまとめ「やはりコミッショナーの不在が続くことはプロ野球界にとってよくない。12球団でそれぞれコミッショナー像は違うが、皆さまの理解をいただいた」と安堵(あんど)の表情。また球界が抱える問題点について「所感を述べさせていただいた」と、日米間交渉の問題点や、選手会との関係改善の重要性などを訴えた。

【2014年】▽2月8日 春季宮古島キャンプを視察。中軸の李大浩(ソフトバンク)バルディリス(DeNA)が抜けた代わりに、ペーニャやベタンコートが加入したチームに「ペーニャの打球を見てブーマーやニールを思い出した。今年は投高打低というようなことにはならないでしょう」と期待した。

▽3月11日 激励パーティーで「昨季は1点差45試合で19勝26敗だった。もし26敗のうち11個が白星だったら優勝していた。今季はぜひ1点差試合をすべて勝つつもりで臨んで欲しい」と叱咤(しった)激励。

▽4月6日 シーズン初観戦で、6連勝での単独首位に「始まったばかりだからね」と慎重ながら「こういうしんどい試合を勝つことが、抜けていく上で一番大事」と監督の采配を評価した。プロ初勝利まであと1死に迫りながら交代のドラフト1位の吉田一には「試練だな」と奮起に期待した。

▽6月21日 ヤクルトに完敗し、10年以来2度目の交流戦優勝の可能性が消滅。この日は「オリックス応援デー」で、三塁側スタンドに在京のオリックス・グループ社員約4000人が集結し、大声援を送るも黒星でオーナーも「負け試合は面白くないね」と悔しそうに話し球場を後にした。

▽7月22日 T-岡田の活躍で首位を守り、2位ソフトバンクに1・5差をつけた。「まれに見る好試合。(後援会の)みなさんには満足兼疲れさせたね」と熱戦の勝利に笑顔。同時に「まだ死闘はこれから。簡単にはいかない」と気を引き締めた。

▽11月4日 2位と健闘したシーズン後、金子や平野佳、坂口ら国内FA有資格者の引き留めを球団に号令。「これはプロ野球の取り決めですからね。FA資格は尊重するが引き続きわがチームの一員と思っている。引き留めるのも球団の仕事。球団が努力するに尽きる」と熱く語った。中でもメジャーへのあこがれを表明した金子については「金子投手は、わがチームの選手だと思ってます」とキッパリ言った。来季以降には「今のパ・リーグは実力伯仲。ホークスが頭1つ抜けている。強いチームにチャレンジしていく」と打倒ホークスを期待。「終わったことより、来季に向かって足りなかったところをどう補うか」と続けた。

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