パ・リーグはオリックスとロッテの白熱の優勝争いが続くが、球界の名物オーナーで知られるオリックス宮内義彦オーナー(86)も、25年ぶりの“そのとき”を心待ちにしている。

95、96年の連覇のあと、ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた。折々のオーナー語録を振り返る第10回。15、16年も低迷したチームに対し、宮内オーナーが奮起を訴えるシーズンになった。数々の名言にも磨きがかかった。

【2015年】▽2月14日 春季宮古島キャンプ視察でナインを前に訓示。「昨年までは“優勝”と言ってきたけど、それもむなしいので」と優勝指令は封印し、それに代わって「1つは開幕にベストの状態に持ってこられるように、2つ目は野球を勉強してほしいとを伝えました」と、担当記者に明かした。

▽5月22日 3連敗を喫し、借金はワースト13に。1点勝負の8回に救援投手が1発を浴び、打線はシーズン4度目の完封負け。「コメントないわ」とあきれたように話し、試合終了を見届けずに帰りの車に乗り込んだ。

▽6月2日 森脇監督が巨人戦を前に休養会見。東京ドームの巨人戦の敗戦を見届けたオーナーは「今日はもう、記者会見の通り」とだけ語って帰途に就いた。

▽同14日 相手のサヨナラ失策による幸運勝利で始まった関西ダービー阪神戦で、今季初の同一カード3連勝スイープ。オーナーは「オーナー、コメントせず。すみません」と言いながらも、満面の笑みで感想を我慢した。

▽7月8日 都内で行われたオーナー会議後、最下位に低迷するチーム状況に「ビリよ。何とかしてよ。要望は…勝つこと。それしかない」と嘆き節。そんな声が届いたか? チームは安達らの活躍でシーズン7戦全敗だったプリンスドームで圧勝し、3年ぶりの借金20を阻止した。

▽同14日 シーズン3度目の5連勝に「好ゲーム? 珍しくね。5連勝? やっとね。今が開幕だったらいいんだけど。5位見えた? これから61試合あるんだから、望みは大きく持つ!」と締めくくった。

▽8月16日 3位ロッテに完封負けし、自力でのCS出場の可能性が消滅。「それはしょうがない。僕があきらめないと言っても仕方ない。寂しいね」とポツリ。

▽9月14日  オーナー会議後、来季の体制について担当記者に問われ「まだまだ。これから1つでも勝ってもらわないと。これから修羅場ですから」と多くを語らず。

▽同23日 オリックスでGM、監督を務めた阪神中村GMが亡くなり「突然の訃報に驚いています。中村さんには監督、GMと球団の運営に貢献していただきました。今はただ心よりご冥福をお祈りしたいと思います」と球団を通じてコメントした。

▽10月19日 監督代行から昇格した福良監督から就任のあいさつを受け、5位に終わったシーズンを振り返って「今年は不本意だった。福良監督は生え抜きの監督でこのチームで育った人。当事者意識を持ってチームを育ててほしい。チャンピオンにチャレンジする。これにつきる」と激励した。

【2016年】▽2月13日 春季宮崎キャンプを視察し、高額年俸選手の奮起を求めた。「不調だった人が復調して普通にやってくれたらいい。年俸の高い人から順にね。それだけの価値を表してもらってね」。推定年俸5億円のエース金子、3億5000万円の中島ら高給選手の不振が響いて5位に終わり「20数年のオーナー生活で最もがっかりした」と嘆いた。

▽3月8日 激励会で、控えめに今季のチームに期待。「去年のこの席で優勝しかないと大口をたたいたオーナーがいましたが、シーズンに入った途端に失速。心からおわび申し上げるし、もう大口をたたけない。今年は去年よりはずっと期待を持てる。ここまでは言わせてください」と、出席者の笑いを誘った。

▽4月1日 本拠地開幕戦の惜敗を見届け「勝たないといけないね。これで(開幕から)2勝4敗。僕が見に来て0勝2敗だ。(西武との)開幕戦は素晴らしい逆転サヨナラ負けを見せてもらったから」と自虐的なコメント。今後に向けては「期待を持ちましょう」と話した。

▽6月5日 オリックスのグループ応援デーで快勝。「いい試合だったね。やっと2勝目が見られたよ。僕(の観戦日)はこれで2勝5敗だ」とご機嫌。ソフトバンクが独走するリーグ状況については「世の中は常に変化していくのだよ」と、予言のようなコメントを残した。

▽8月7日  低迷するチーム状況に「残り試合は全勝や。もうやけくそ。最下位なんて論外」と笑顔を浮かべながらも厳しく話した。

▽同20日 楽天則本の攻略に成功し、17安打11得点で圧倒。ドラフト1位新人の吉田正がプロ初の猛打賞と活躍し、連敗を5で止めた試合に、オーナーは最下位という順位を忘れたように「ウチのチームは強いねえ」とご満悦だった。

▽10月13日 福良監督から4年ぶり最下位のシーズンの報告を受け「一番ビリ。落ちるところまで落ちた」とがっくり。「何が何でも勝つというものすごい執念を持ってもらいたい。(優勝した)20年前はあったが、いつの間にか消えうせた」と、勝ちへの執念復活を求めた。

▽11月14日 日本ハムからFA宣言した陽岱鋼に「うまいなあと思って。かっこいいしね。いい選手だよ。基本的にはもちろん欲しいと(球団に)言ってあるんでね」と獲得ラブコール。

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