西武、巨人、オリックスで歴代5位の525本塁打を放った清原和博氏(54)が22日、中日の沖縄・北谷キャンプで“サプライズ指導”した。PL学園の2年後輩にあたる立浪和義監督(52)に訪問を相談し、指揮官も快諾して実現。同じ右の大砲候補で期待をかけている3年目の石川昂らに助言を送った。薬物依存からの回復に取り組む中、14年以来というキャンプ地訪問。本人、そして昨季12球団最少69本塁打のチームにとって貴重な時間となった。

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清原氏は高卒3年目石川昂、ドラフト2位鵜飼航丞外野手(22=駒大)を見るのを楽しみにしていたという。ともに右の大砲候補。立浪監督は来訪に合わせ、急きょ2人をランチ特打に組み込んだ。打撃ケージに入る前、三塁側ベンチ前で引き合わせると、通算525本塁打の同じ右打者による特別授業が行われた。隣で歴代8位2480安打の指揮官が寄り添った。

清原氏 技術的なことではなく、打つまでの準備を。僕が大切にしてきた打席でのアプローチの仕方、チャンスでの打席の入り方を伝えました。初球からしっかり振れるように準備をしておけと。

その後、石川昂は6本、鵜飼も11本の柵越えで応え、清原氏は最後まで見守った。

高卒1年目で31本塁打で新人王に輝いた大打者の金言に、石川昂は「タイミングを取るのが遅いと言われました。継続中ですが、改めて再認識して練習する」と感謝。鵜飼も「振るときに左脚が伸び切るとバットが遠回りする。教えてもらったことをものにしたい」と目を輝かせた。

清原氏は大型内野手として期待される石川昂を「想像以上の素材の良さ。面構えも、打球の角度もいい。ああいう打撃をコツコツやれば日本代表に入れる」と絶賛。400本塁打以上を打てる可能を聞かれ「十分にある」と太鼓判を押した。

8年ぶりのキャンプ訪問はPL学園の後輩の立浪監督に連絡し、「ぜひお願いします」という即答と、球団の協力があって実現した。特別な「プレゼント」に、前夜は興奮して1時間おきに目が覚めたという。

清原氏 うれしかった。立浪監督がユニホームを着ている姿を見て感動した。訪問させていただき、監督にも球団にも感謝の気持ちでいっぱい。

16年に覚醒剤取締法違反で有罪判決を受け、薬物依存からの脱却を図っている。その過程でまた野球に救われた思いになった。清原氏は球場を離れた後、立浪監督に「今まで生きてきて良かった」とラインでメッセージを送った。【伊東大介】

◆清原氏と立浪監督 2学年違いの2人は85年にPL学園で清原が3年、立浪が1年でチームメートとなった。その夏に主砲としてチームを全国制覇に導いた清原に対し、立浪はベンチ入りならず、その2年後の87年に春夏の甲子園優勝。85年ドラフト1位で清原は西武へ、87年同1位で立浪は中日へ入団。立浪プロ1年目の88年日本シリーズで両軍は対戦し、西武が日本一となった。立浪が現役最後の公式戦となった09年9月30日巨人戦には、その前年に引退した清原がナゴヤドームへ駆け付花束を贈った。