やっぱり甲子園は最高や! 阪神が大山悠輔内野手(27)のV弾で、広島との雨中の投手戦を制した。両軍無得点の8回に左翼席へ均衡を破る23号ソロ。長期ロードを終え、30日ぶりに戻ってきた本拠地で白星をもぎ取った。シーズンは残り21試合。猛虎よ、最後まで死力を尽くせ。
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雲1つない。雨上がりの甲子園の夜空に白球が映えた。大山の放物線は、ファンの抑え切れない歓喜に乗って左翼席へ着弾。みんなずぶぬれになっている。そんなのお構いなしに狂喜乱舞した。
「もう、自分が決める気持ちで(打席に)入りました」
覚悟を決めた。0-0の8回2死。時計の針は午後9時45分に迫っていた。雨で試合開始が45分遅れ、15分の中断もはさんだ。待ちに待った1点は主砲のバットから。「しっかり狙いを絞って自分のスイングで」。3ボールからターリーの155キロを振り切った。2日の巨人戦以来、28日ぶりの23号ソロ。「相手もランナーを出したくない。3ボールだからこそ、思い切りいけた部分がある」。心を整理し一振りで仕留めた。
4回、6回といずれも得点圏に走者を置き凡退。雨の中、粘り続けた先発青柳には「すみません」とベンチでわびていた。「笑ってこたえてくれたので、ちょっと救われました」。エースに報いたい一心だった。
9回表。一塁守備に就くと、拍手が響くスタンドへ頭を下げた。時には相手選手がグラウンドに置いたバットを優しく届け、退いた後のイニング間には外野手のキャッチボール相手を務めることもある男だ。プロ6年目。先輩たちから学んできたことを、今度は後輩に-。そんな使命感が、所作のいたるところに宿る。
「今まで、先輩方の背中を見てやってきていますし、今度は自分が下の選手を引っ張っていくというか、僕の背中を見て学んでもらえることがあればうれしいので、そういう先輩になれるように」
夏の長期ロードが明け、30日ぶりの甲子園でラストスパートへの号砲を鳴らした。残り21試合。雨と汗が染みこんだユニホームで額をぬぐい、誓った。「まだまだ試合は終わっていないですし、どうなるか分からない状況なので、しっかりやるだけ。全員が束になれば、もっともっといい試合ができると思うので、頑張っていきたい」。首位ヤクルトと12ゲーム差の今、背番号3が諦めない虎の象徴だ。【中野椋】
▼大山が8回に決勝弾を打ち、阪神が1-0で勝利。大山の1-0V打は、5月24日楽天戦、7月24日DeNA戦に次いで今季3度目。シーズン3度の1-0V打は15年梶谷(DeNA)以来だが、阪神では71年に藤田平と田淵の2人がマークして以来51年ぶり。
▼阪神は今季18度目の完封勝ち。広島戦では7月19日以来、今季2度目。
▼1-0完封は今季4度目。そのうち3度が大山の打点による勝利だ。
▼ソロ本塁打1本のみでの完封勝ちは今季2度目。前回は5月27日ロッテ戦(ZOZOマリン)で、佐藤輝が9回に抑えの益田からバックスクリーンに運んだ。
▼長期ロード明け初戦の白星は2年ぶり。矢野監督就任後は、19年●、20年○、21年●、22年○となった。
▽阪神矢野監督(3ボールから本塁打を決めた大山について)「振りにいくのはもう、当然。悠輔で振らないなんて、他のメンバーでも“待て”のサインなんて出すわけないんだから、振って当たり前。もうホームランしかないだろうというところで、見事に打ってくれた。悠輔らしい、いいホームランでした」
○…梅野が1軍に復帰した。28日に鼻づまりの症状を訴え、感染拡大防止の対象選手として抹消。その後、検査を受けて新型コロナウイルス陰性と判定されていた。この日はフリー打撃など通常メニューをこなした。7回に代走で出場し、マスクもかぶり、元気な姿を見せていた。また、新型コロナに感染していた北川打撃コーチも復帰した。
○…近本が盗塁数でリーグトップに立った。6回に四球で出塁し、二盗に成功。今季24個目の盗塁を決め、セ1位で並んでいたヤクルト塩見の「23」を抜いた。4回には2試合ぶりの安打となる中前打で出塁。2年ぶりの盗塁王へ向け、ラストスパートをかける。
○…代打の切り札のマルテは不発だった。右足のコンディション不良で7月中旬に戦線離脱。この日、再昇格し、6回2死一、二塁で代打起用された。だが森下のチェンジアップに空振り三振。先制点を奪えなかった。試合前「いつも集中してやるだけ。監督やコーチから言われたポジションが、みんなの出て欲しいところ。100%を出せるよう、チームが勝てるようやりたい」と話したが、復帰戦で快音は響かなかった。



