オリックス山本由伸投手(24)が力を込めた116球目は154キロを計測した。山口のバットに空を切らせると笑みがこぼれた。「最後はまた集中したので、いい感じにしっかり疲れました。仕事をした感じがします」。1点差を守る3失点完投。今季のロッテ戦は5戦全勝。心地いい疲労感が残る12勝目だった。

「最近では一番いい球がいっていた」という最速156キロの速球で簡単にカウントを奪った。5回先頭からは圧巻の5者連続三振。7回は制球が甘くなり1点差に迫られたが「4点もらったのに追い越されてはいけない」とギアを上げた。残り2回は再び球場を支配した。

12勝、勝率7割6厘、防御率1・82、172奪三振など今年もタイトル総なめの勢いだ。将来的なMLB挑戦を視野に入れる日本のスーパーエースにはメジャーの関心も高まるばかり。この日は6球団11人が集まった。

ある球団では「日本の機器は正確なのか?」と疑問視されたという。NPBのデータ数値を毎日取得しているが、山本の総合的な数値が「世界一」を計測することがあるという。回転数、回転軸、リリースポイントなど能力を測るデータがすべて突出。ヤマモトのパフォーマンスには日米で熱い視線が注がれる。

「終盤になって落とせない試合が続く。監督も戻ってきて、もっともっと一致団結できている」。中嶋監督が新型コロナから復帰した前日は「夏休みですね」と話しかけてキックを食らった。首位ソフトバンクとは1ゲーム差、2位西武にはゲーム差なし。絶対的エースが引っ張るオリックスが加速している。【柏原誠】

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