ヒット打つだけじゃあかんよ。阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が、2試合連続のマルチ安打で存在感を示した。ヤクルトとのオープン戦に「2番右翼」で先発。2安打でオープン戦打率を3割6分4厘に上昇させたが、岡田彰布監督(65)から1回の打席内容と走塁に苦言を呈された。すでに開幕右翼の最有力に躍り出ている大砲候補。指揮官の厳しい指摘は高い期待値の表れだ。

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森下がまたしても神宮で快音を連発させた。3点を追う6回1死では石山から、8回先頭では清水から。それぞれ146キロ直球を力強くとらえ、左前へ運んだ。実績豊富なリリーバー2人からHランプをともし、2試合連続でマルチ安打を記録。12球団2位のオープン戦打率を3割6分4厘まで上昇させたが、岡田監督は「ヒットは出たけどなあ。初回なんかは、そらあかんわなあ」と浮かない表情だった。

初回、1番近本が左中間への二塁打を放った直後の打席。森下は外角直球を引っかけ、投ゴロに倒れた。飛び出した二塁走者近本が二、三塁間で挟殺され、さらに二塁を狙った森下までタッチアウトを食らったシーンに、指揮官はおかんむりだ。「打ち方がおかしい、いうことやんか。最低でも(走者を)サードに送るとかな。そういう打ち方をせなあかん。あとのプレー(走塁ミス)もシーズン中だったら大変やで」と語気を強めた。

すでに開幕右翼の最有力候補に躍り出ている。期待値が上がっているからこその苦言だろう。当然、本人にも浮かれた様子はない。「まだまだ(タイミングが)合わない部分がある。もっと合わせられるように頑張りたい」と引き締まった表情。マルチ安打にも「まだシングルヒットなんで。もっともっと(外野の)頭を越えられるように角度をつけていきたい」と満足していない。

ヤクルト先発吉村との「ドラ1位対決」は完敗に終わった。昨年7月に「東芝-侍ジャパン大学日本代表」で対戦した際は死球を当てられ、右手首を骨折した。因縁の相手とのプロ初対戦は投ゴロ、空振り三振に終わり「コントロールがいいし、球のキレがあるとあらためて感じた。シーズンではリベンジしたい」と逆襲に気合十分。指揮官の「愛のムチ」も糧に、スキの少ない主軸への成長を自らに課す。【古財稜明】

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