得点圏の鬼が意地を見せた。セ・リーグ得点圏打率トップの阪神大山悠輔内野手(29)が敗戦の中で気を吐いた。
初回、1死から2番中野が7球粘り、中前打で出塁。続く森下の打球は遊撃の正面も、巨人門脇が手につかない。敵失で1死一、二塁の好機を迎えた。
「とにかく先制点を取りたいという気持ちを持って打席に立ちました」
巨人の先発は難敵の菅野。2ボールからの3球目、148キロ外角低めの直球を振り抜き、痛烈な打球が右前に弾んだ。二塁走者の中野が一気に生還。幸先よく先制点をもぎ取った。「初回からいい流れを作ることができてよかった」とうなずいた。
これで得点圏打率3割5分2厘でリーグトップに立った。さらに、1-1の4回には先頭で、147キロツーシームを再び逆方向にはじき返し、マルチ安打。今季この試合まで9打数1安打と苦しめられてきた右腕を攻略した。
この日はどうしても打ちたい理由があった。甲子園には湘南乃風の若旦那が来場。大山は同グループの楽曲を登場曲として使用しており、移動中にも聞くなど、力強く男らしい歌声に何度も助けられてきた。5回終了後には代表曲の「睡蓮花」が流れ、球場中がタオルを回して一体になった。先制打を含む2安打は感謝の思いがこもっていた。
だが、試合後は悔しさをにじませて球場を後にした。「試合に勝つか負けるかなので、ここまで来たら結果が大事だと思う」。4位DeNAに1・5差に迫られ、チームは土俵際に追い詰められた。「まだまだだと思うので、次の試合に向けてしっかり準備したい」。頼れる4番は最後までチームを背中で引っ張る。【村松万里子】



